第2話 お金で買えない物の話[前編]


                        作者  相沢友達



皆さん時は金なりということわざを知っていますか?




 前世の世界での意味は、時間はお金と同じように貴重なもので余すことなく有効活用しようという意味です。




 しかし時間もお金で買えてしますのです。通勤を例にあげましょう。自宅から会社まで一時間あるとしましょう。




 お金があればそんな時間も短縮することができます。


極端な話ですが引っ越せばいいのだから。愛情も友情もお金で買えてしまいます。本物かはわかりませんが。ではお金で買えないものとは何でしょうか?簡単ですね。


これはそういったお話です。




                   〇




 とある時代とある場所にとある葬儀屋がおりました。初めましてラディアと申します。


少し肌寒い日のこと、何もない一本道を5人乗りのジープで気持ち良く走っております。晴天に恵まれた天気の良い日でした。年は17歳、乙女色のロングヘアーに紫陽花色の目をした女の子です。腰には少し長いレイピア(細剣)をさしています。最初なので自己紹介はしっかりとやらしていただきます。だから覚えてくださいね。




 服装はの長袖のワンピースを手首に銀色の小さな腕時計を首には紫色の葬儀屋の証であるペンダントを靴はスニーカーというペンダント以外は何とも葬儀屋には見えない格好をしております。




 これには訳がありまして葬儀屋は葬儀屋とばれてはならないのです。なぜなら依頼した国の誰かが死んだと周りに言いふらしていることになりますからね。庶民ならいざ知れず国王などであれば国が揺らぎます。そういった時にこそ他国が攻めにくることが多いのです。え、じゃあなんでペンダントつけてるかって?ペンダントはよく見なければわかりませんから。




 さてそんな説明をしていたら依頼を受けた国についてしまいました。


ここで簡単に葬儀屋のお仕事を説明させていただきますね。もしかしたら私たちの世界とは違う読者かもしれませんので。




1、私たちは密書や遺言書などを受け取りその国に行きます。


2、依頼主の所に行きます。


3、最高の葬儀にする為に依頼主やそのご家族の悩みを解決させます。


4、どのような葬儀にするかを相談し行います。


5、報酬をもらいます。 


 以上です。おんなじ感じでした?


 入国審査は密書とペンダントを見せれば一発で入れます。意外と楽なんですよ。




 今回のお仕事は塀の国リザレンスという国です。この国は多くの戦争で領土を広げた国だそうで城壁の上に沢山の大砲がありました。ここ10年間は戦争がなく穏やかな日々を送っているとかいないとか。なかなか物騒な国なのでは?とりあえず依頼主のところに行くとしましょう。




「・・・。 ほんとにここで会ってるのでしょうか?」




 この国の男爵様からの依頼だったので大きく綺麗な屋敷に住んでるのかと思っていたのですが、、、。目の前に写ったのは大きくても綺麗とは遠くかけ離れた人が住んでいるかも怪しい屋敷でした。




 物は試しといいますしとりあえず入ってみましょう。チャイムを2回押しました。


ベルの音が微かに聴こえるレベルのチャイムでしたが聞こえるようですね、中から白髪で眼鏡の如何にも執事っぽい人が出て来ました。




 「葬儀屋様ですか?」


 と執事っぽい人が聞いてきました。




 「そうです。葬儀屋のラディアと申します。。ご依頼ありがとうございます。」


 と答えると執事っぽい人は安心したよう様子で、


 「男爵家執事長のヒデと申します。本日はご依頼を引き受けてくださったこと心より感謝いたします。」


 どうやらほんとに執事さんだったみたいですね。








                  〇




   執事っぽい人もとい執事のヒデさんに屋敷を案内してもらいました。


外見にそぐわない綺麗な玄関でありそれに続く廊下もゴミ一つ落ちていませんでした。




 「長旅のところ申し訳ないのですが葬儀屋様にはレイ様、、、現男爵様と面会し    ていただきます。」


  え、いきなりですかー、そういうにはもっと早く言ってくださいよ、ちょっと待ってー、心の準備がーーー・・・・・・。




 しかし時というのは残酷でそんなことを考えてる私のことを置いといて先に進んでしまいます。いつの間にか男爵様のいる部屋についてしまいました。トホホ・・・。




 「男爵様、葬儀屋様をお連れしました。」




 「入ってもいいわよ。」




 部屋の中から厳しそうな女性の声がします。恐る恐る部屋に入る入るとそこにはかなりやつれた長い茶髪の大人っぽい女性が書類仕事をしておりました。すると女性は衝撃的な一言を放ちやがりました。




 「今忙しいからあとにしてちょうだい。」




 はぁああああああ!?あなたが呼んだんでしょうが!と叫びたい気持ちを我慢して




 「お呼びされたのできたのですが?」




 「葬儀屋がどんな人なのかを見たかっただけよ。まあこんな貧相な小娘が来るとは思わなかったけど。」




 はぁあああああああああ!?ちょっと男爵様だからって失礼すぎませんか?ちょっと私より胸があるからって小娘呼ばわりですか、、、。




 「こんな小娘で悪かったですね!!!。」




 「・・・。」




 なんと無視されました。くぅううううう大人の対応をされました。こ、こんな屈辱は初めてですよ。私はドアを全力で閉めその場を後にしました。




 「申し訳ございません、普段はあんな方ではないのですが仕事が忙しいそうなので。」




 「いえいえいえ、気にしてませんので。」




 ここではエレガントな大人の対応をしておきます。内心でははらわたが煮えくり返る思いですが、、、、、。




                   〇




 部屋に案内されました。それなりと大きな部屋でシングルベットやトイレは当然のことバスールームやキッチンまでついていました。




 「葬儀は1週間後ですのでそれまでに現男爵様のご要望はお伝えいたします。」




 「わかりました。ここまでありがとうございました。」




 「何か困ったことがありましたら玄関まえまでお越しください。夕食は19時ですのでその時間になればお呼びいたします。ごゆっくりどうぞ。」




 いろいろ言い残してヒデさんは去っていきました。なるほど夕食は19時からですか、それまでは旅路の疲れを癒すとしましょう。




 外見はボロボロでしたが中の設備はしっかりしているそうで部屋についているバスルームが使えなかったらどうしようと考えていましたがそんな心配は不要でした。




 シャワーを浴びてお風呂に入りパジャマに着替えた後目覚ましを18時にセットにて私はふかふかのベットに横になりそのまま眠りにつきました。




 しばらく上機嫌のまま眠りについていると物音が聞こえてきました。ドアのたたく音でした。まさかもう夕食の時間!と驚いて急ぎ目覚ましをみましたが17時半でした。寝坊なんてしたらあの男爵様にまた嫌味をいわれてしまいますからね。




 ではこの時間だといったい誰でしょうか。まさか男爵様!?それはちょっと・・・・・といった気持ちでゆっくりドアを開けます。




 しかしそこには恐れていた男爵様の姿はなくその代わりに男爵様によく似た茶毛でショートヘアの女の子が立っておりました。年は私より若く見えます。15歳ほどでしょうか。ルビーのように赤い目が眩しい子でした。白色の洋服に黒いスカートをはいていました。




 その少女はとても困って泣きそうな顔をしながらこういうのでした。


 「お母さんを助けて。」と




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