第23話 自覚した恋心(彩香視点)
コンテストはよく読むと1月までに最低10万字が必要だったらしい。
自分の執筆量だとあと50話分。なるほど。
…え”?50話分??((((;゚Д゚)))))))
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-彩香視点-
「行ってきます…」
その土曜日、私はトボトボと憂鬱な気持ちで家を後にした。
やっぱり、村井くんは環奈先輩のことが好きなのかな…。
私は送られてきた村井くんの動画のことを思い出す。
それは村井くんが襲われている様子を撮影した動画だった。
その動画を見て青ざめてしまったが幸い村井くん達に怪我がないらしい。
その情報にホッとしたものの、私は村井くんが必死に環奈先輩を庇っていたことが気になってしまった。
昨日村井くんに環奈先輩が好きかを聞いた時、村井くんは否定したけど、やっぱりこの動画を見る限り村井くんは…。
「はあ…」
私はつい先日自分の恋心を自覚してしまった。
こんなことなら自分が村井くんに恋をしている事を自覚しなければ良かったと思う。
もともとは痴漢から助けてもらった後『村井くんともっと話をしてみたい』と、そう思っていただけだった。
どんな人なのか、どんなことが好きなのか単純に気になった。
なので事あるごとに村井くんに話しかけ、遊びに誘ってみたりしてみた。
けれども、話しかけてみても村井くんはどこかよそよそしい。
断られるたびにまた誘うね!なんて言っていたけど、内心ではとても悲しい気持ちになっていた。
もしかして私は村井くんに嫌われているのだろうか?
心当たりは特にないのだけれど何かしてしまっただろうか?
そんな不安が四六時中付き纏い、寝ても覚めても村井くんのことばかり考えてしまう日が続いた。
友達には、『綾香がボッチな村井君に優しいのはわかるけどさ。村井くん、誘っても困ってたし、もう放っておこうよ』なんて言われてしまったが、私は優しい訳ではない。ただ、村井くんともっとお話をしてみたかっただけなのだ。
そんなある日、私は村井くんが環奈先輩ととても楽しそうに会話をしているところを目撃してしまった。環奈先輩はとても綺麗で、優しい先輩でとても人気のある先輩だ。私も中学時代は生徒会でとてもお世話になった先輩だ。
村井くんは部活に入っていないし、環奈先輩は吹奏楽部。
二人に何か接点があるようには思えない。
どうして村井くんと環奈先輩が2人で会話をしているのだろうか?
大体、村井くんは私とあんなふうに楽しそうに話ししてくれることがないのに…。
胸がズキズキ痛んで、すごく苦しい。
おもむろに環奈先輩が村井くんに微笑んで何かのチケットを村井くんに手渡す。そしてその後もなんだか二人は楽しそうに話をしている。
どう見てもデートの約束をしているところだった。
「〜〜!」
私はその様子を見ていられず、その場から逃げ出してしまった。
私は馬鹿だ。
村井くんともっと話をしてみたくて声をかけていたなんて嘘だ。
その時になっていつの間にか自分が村井くんのことを好きになっていたことに気がついた。
「はぁ…」
トボトボ歩いていると村井くんに似た人がちょうど近所の家から出てくる所が視界に入ってしまい、また村井くんのことを考えてしまう。
また、ため息が出る。
「村井くん…」
こんなことならもっともっと積極的に話に行けば良かった。
断られてもめげずにもっと遊びに誘えば良かった。
後悔しかない。
それにしても、さっきの人は本当に村井くんに似ている人だ。
そう思って眺めていたら、不意に名前を呼ばれる。
「…篠崎?」
…まさかの本人!?
こんな近くに村井くんが住んでいるとは夢にも思わなかった。
最初は普通に話をしようと思っていたのに、結局私は感情が抑えきれず、思い切って村井くんが環奈先輩のことが好きなのか聞いてしまった。
その質問は昨日もしていたので村井くんに呆れられてしまったけれど、どうも本当に環奈先輩のことはなんとも思っていないようだった。
そのことに私はただただ安堵した。
ただ、知り合いが困っていたから助けた。
村井くんはただそれだけのつもりのようだった。
思えば、村井くんは私が電車で怖い思いをしている時も助けてくれた。
彼にとっては人を助けることは本当に普通なことなんだろう。
私はそんな優しい村井くんのことがますます好きになった。
そして、どうやら私にもまだチャンスはあるようだ。
もうさっきまでしていたような後悔なんてしたくない。
だから私はもっと積極的に村井くんにアプローチすることに決めた。
「ところで、村井くん。どこに出かけるの?」
「ああ、ちょっと図書館に行ってみようかと思って」
「奇遇だね!私も図書館に行くところなんだ。折角だし一緒に行こうよ。ね!」
そう言って、私はさらりと今日の予定を変更する。
絶対振り向かせて見せる!
覚悟しててね!村井くん!
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