第6話 女難の相

俺はトボトボと駅までの道のりを歩いてたら・・・

占いの館の人と目があう。

「どうですか?占っていきませんか?今なら2000円でいいですよ。」

俺は今までの事を誰でもいいから聴いて欲しくなって、入っていった。

占い師は俺の顔や手相、生年月日、名前をみて語りだす。

「アナタには女難の相がありますね。結婚線は小指の付け根にあるんですが・・・」

「アナタは晩婚の様ですね・・・結婚ははやくて30歳過ぎですね。それまでいろいろな恋がありますが、実を結ぶ事は無いでしょう。」

「恋は受け身な所がありますが、積極的に行かないと実を結ぶ事はなかなかできませんよ。」

そんな普通の人だったら落ちこみそうな話しだったけど・・・

・・・俺にはまだ運命の人と出会える可能性があるんだ!

と思ったらなんだかそれだけで嬉しくなった。


自宅に帰ると、荒井先輩から“ああしろ、こうしろ”と命令電話がかかってきた。

俺は面倒くさくなって来て、

「先輩、この電話を俺は録音してます。先輩の今やってる事は恐喝ですよね。あまり続く様でしたら警察に相談に行きますが宜しいでしょうか?」

そう告げたら、それからは俺に電話をかけてこなくなった。


俺の大学生活は青春とはほど遠いモノだ。

俺は大学の研究室でボ〜としている。

「翔、そのフラスコのヤツ、液クロ(液体クロマトグラフィー)かけといて!」

同じ研究室の木村達也がビーカーに入れていたコーヒーを飲みがら俺に指示する。

「キムタツ、よくそんなコーヒー飲めるな?」

「あっ?ビーカーは俺専用って書いてあるから大丈夫だろ!よく洗ってあるし。」

・・・まったく気にしないヤツだ。

俺は液クロやっている時がなんとなく落ち着く。

シリカゲルが入ったカラムにフラスコから液を注ぐ。

・・・シリカゲルの中でおちて行く液を見ながら想像が膨らむ。

それは、まるで水泳選手が飛び込んで水の中を泳ぎまわりゴールを目指す。そして、一着、二着が決まっていく。

・・・まったく酷い妄想だ。

キムタツは蒸留装置とにらめっこしている。見方によってはコーヒーをサイフォンにかけてる様にみえるし・・・

・・・おいキムタツ、コーヒーと間違って飲むなよ!


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