【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第818話 ちゃんとバランス良く食べなきゃ駄目だぞ?
第818話 ちゃんとバランス良く食べなきゃ駄目だぞ?
ゼルと零と遊んだ翌日、藍大は天照大神とデートする約束になっていたのだが、待ち合わせ場所の地下神域には天照大神と一緒にリル一家とパンドラ、ミオ、フィアがいた。
「あれ? 今日は天姉だけじゃなかったの?」
「あの、その、リル達も一緒の方が藍大は喜ぶかと思いまして」
「ニャ? 天姉がヘタレたもがっ」
「ミオ、静かにしようね」
(なるほど。俺と天姉だけなのはハードルが高かったか)
そもそも、今日のデートも天照大神から言い出したのではなく伊邪那美が天照大神に断りなく提案したのだ。
天照大神はモフ神と雑食神が誕生した日の夜、伊邪那美から藍大とデートして来いと言われてびっくりしたのは当然だろう。
地味に藍大にアピールしてはいるものの、天照大神自ら藍大をデートに誘うにはまだまだ勇気が足りない。
それをじれったく思った伊邪那美が気を利かせた訳だが、天照大神は藍大とデートできるのは嬉しくても前日の夜になってヘタレた。
そして、リル達にも藍大に楽しんでもらうことを口実に一緒について来てほしいと頼んだ訳だ。
リル達は天照大神がヘタレたことを瞬時に悟ったが、その場では誰も指摘せずに快諾した。
自分達も早く藍大と遊びたかったからである。
ところが、ミオが天照大神のヘタレな部分を口にしてしまったため、パンドラが尻尾で慌ててその口を塞ぐも遅かった。
藍大はここにリル達がいる理由を理解したけれど、決して天照大神のことをヘタレとは口にしない。
「気を遣ってくれてありがとう。今日はどうする? 天姉が外に出たのを目撃されると居心地が悪いだろうから、地下神域で遊ぶかシャングリラリゾートに行くのか?」
「そうですね。流石に私も知らない人達にひそひそされたり、掲示板で目撃報告されるのは嫌ですから、午前中は地下神域で遊んで昼食をシャングリラリゾートのグルメエリアで取り、午後はアウトドアエリアで遊びましょう」
デートプランはしっかり考えていたようだと藍大が感心していると、ルナとフィアが藍大に近づいて甘え出す。
『ご主人、遊ぼ遊ぼ!』
『パパ、いっぱい遊ぶの!』
「よしよし。愛い奴等め」
早く遊びたくて仕方のない2体に急かされ、藍大達は早速遊ぶことにした。
このメンバーで遊ぶならば、やはり最初はフライングディスクだろう。
現に藍大がフライングディスクを取り出すと、リル一家とミオ、フィアがやる気になった。
『ワフン、僕の力を見せてあげるよ』
「私だってやる時はやる」
『ルナだって実はすごいんだよ』
「なんでもありなら勝ち目はあるはずだニャ」
『フィアだって負けないよ』
パンドラはリル達のようにやる気が目に見えて出ている訳ではないが、久し振りに藍大と遊べるなら本気を出そうかなんて思っている。
さあ早く投げてくれと期待の眼差しを向けるリル達を前に、藍大はディスクを天照大神に渡す。
「天姉、交代で投げよう。レディーファーストってことで最初は譲るよ」
「レディーファースト・・・。そうですね、私が先に投げさせてもらいます」
元々女性扱いされていた天照大神だったが、藍大にそれを口にしてもらえたことで機嫌が良くなった。
先程まで若干後ろめたさをかんじていたというのに、なんともチョロい女神である。
「私のターンです! 投げます!」
ブンと風を切る音が聞こえ、ディスクは弾丸ライナーと呼ぶべき勢いで飛んでいく。
それをリル達は走って追いかけるが、<
『ワフン、僕が取ったよ♪』
「よしよし。リルはやっぱりすごいな」
「クゥ~ン♪」
ディスクを自分に渡したリルが褒めてほしそうに見るので、藍大はリルのことを満足するまで撫でた。
『パパ速過ぎ!』
「<
「そうニャ! <
「<
『フィアも<
(フライングディスクってこんな過酷な遊びだったっけ?)
藍大はルナ達が全力を尽くしても勝てないリルをすごいと思うのと同時に、このメンバーで行うフライングディスクの本気ぶりに驚いた。
しかし、このままでは1枚のディスクをどんなに工夫して投げてもリルが真っ先にキャッチしてしまうだろう。
それだと他のメンバーが楽しめない。
そう考えた藍大は少しルールを変えることに決め、<
「ルールを変えよう。次からは俺達が一斉に30枚のディスクを投げる。1枚でも多く集めて持って帰った者の勝ちだ。天姉、何回勝負が良いと思う?」
「3回勝負でどうでしょう? 3回の合計で最も多くディスクを集めた者が優勝し、藍大にお願いをできるというルールにしませんか?」
天照大神の発言により、パンドラまでもが戦士の顔になった。
リル達が横一列に並んだのを確認してから、藍大は<
四方八方にディスクが飛べば、どの従魔もディスクを取れないなんてことはなくなる。
こうすればリルに追いつけずに勝てない戦いではなく、いかに工夫して1枚でも多くのディスクを回収するかという戦いになるのだ。
1回目のチャレンジの結果は、リルが7枚でリュカとルナ、パンドラが5枚で並び、ミオとフィアが4枚で並んだ。
2回目のチャレンジではリルとリュカ、パンドラが6枚、ルナとミオ、フィアが4枚だった。
3回目のチャレンジだとリルが7枚、ミオとフィアが6枚、パンドラが5枚、リュカとルナが3枚という結果になった。
合計すると1位が20枚のリル、2位が16枚のパンドラ、3位が同率で14枚のリュカとミオ、フィア、6位が12枚のルナである。
「リルが優勝だな。おめでとう」
『ワッフン♪』
リルは優勝してドヤ顔を披露した。
予想以上に接戦の回もあったため、リルとしてはそれでも優勝できたことで達成感があったようだ。
「さて、リルは俺に何をお願いしたいのかな?」
『僕に一度だけ自由なタイミングで料理の献立をリクエストする権利がほしいな』
「それは私も欲しいですね」
「ミーも欲しかったニャ」
『フィアも~』
『ルナもそれ頼もうと思ってたよ』
食いしん坊ズは全員同じことを考えていたらしい。
「リルがそれを望むなら俺はその権利をあげよう。好きな時に使ってくれ」
『うん! ありがとうご主人!』
リルは食いしん坊ズ垂涎の権利を得て尻尾をブンブンと振るった。
それから大縄跳びをしたり、旗揚げゲームで盛り上がった後にシャングリラリゾートのグルメエリアでバイキングレストランに入った。
「メイド型ホムンクルス達の腕前を確かめるとしましょう」
『僕達の舌を唸らせることはできるかな?』
天照大神とリルがキリッとした表情になった。
「やれやれ。もっとゆっくりすれば良いのに」
「パンドラはこっち側か」
「うん」
藍大とパンドラ以外は早速好きな料理を取りに行ってしまい、一足遅れて藍大はパンドラと一緒にゆっくりと料理の並んだテーブルを回る。
「パンドラは楽しめてるか?」
「楽しんでるよ。天姉もなんだかんだで楽しんでるみたいだね」
「そうだな。俺と天姉だけってのは緊張するだろうから、今日みたいな形で慣れた後に自分から誘って来るんじゃないかな」
「まだまだ先の話になる気がする」
「確かに」
パンドラの言い分がもっともだったので藍大は頷いた。
そこに笑顔の天照大神がやって来る。
「見て下さい藍大! ハンバーグチーズドリアがありました!」
「ちゃんとバランス良く食べなきゃ駄目だぞ?」
「勿論です! あっちに温泉卵のシーザーサラダがあるので行ってきます!」
天照大神が嬉しそうにサラダを取りに行くのを見てパンドラはやれやれと首を振る。
「食べ物が絡むと普通にご主人と喋るよね」
「共通の話題だからじゃないか?」
「なるほど。あれだね、天姉はヒャッハー要素を抜いた舞なんだよ」
「・・・間違いとも言い切れないなぁ」
ズバリ正解とまでは言えないが、パンドラの考えが外れているとも思えなかったので藍大は苦笑した。
バイキングでたくさん食べてしまった分、午後は女性陣が進んでアウトドアエリアで運動した。
天照大神も一生懸命体を動かしているあたり、やはり藍大の前ではスタイルが良いままでいたいのだろう。
天照大神とリル達とのお出かけは動いては食べ、食べ過ぎた分は動くというある意味日常の延長線にあったけれど、楽しい1日を過ごせたと藍大は思えた。
邪神を倒すまではドタバタしたけれど、もうすっかり藍大達は平和な日常を取り戻していた。
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