【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第783話 寝てませんよ。瞑想してただけです
第66章 大家さん、日本の神を集める
第783話 寝てませんよ。瞑想してただけです
5月10日、藍大は舞とサクラ、リル、ゲンを連れて富士山の頂上にやって来た。
以前は伊邪那美に頼まれて五合目にあった富士山ダンジョンを潰しに来たが、今回は天照大神が高山に天之狭霧神がいるかもしれないと言ったから探しに来たのだ。
「富士山に来たのは二度目か」
「今度は家族全員でご来光を見に来るのも良いかもね~」
「今日は雲が多めだね」
『ご主人、あの雲がソフトクリームに似てるよ』
「よしよし。愛い奴め」
リルがソフトクリーム似ている形の雲を見つけて喜んでいたため、藍大は愛らしいリルの頭を撫でてやった。
サクラの言う通りで今日は雲が多い日であり、視界はそこまで良いとは言えない。
藍大も魔神になって一般人よりも神の気配を感知しやすくなったから、まずは自分でそれらしいものが感じられないか試してみた。
(自分達の気配が強過ぎて他が全然掴めん)
感知能力に優れた神ではない藍大では天之狭霧神の気配は探れなかった。
やはり今回もリルの出番のようだ。
「リル、いつも通り探してもらっても良いか?」
『任せてご主人。・・・見つけたよ。あっちにいる』
「うん、探索はリルの専売特許だな」
『ワッフン♪』
リルが秒で自分達以外の神の気配を察知したため、藍大はリルには敵わないなと笑いながらリルの頭をわしゃわしゃ撫でた。
藍大達はリルの案内で少しだけ移動したところ、他と比べて霧がかった場所があった。
霧がかった場所は藍大達を察知して光を放ち、藍大達は眩しさから目を閉じた。
目を開けるようになった藍大達はいつの間にか霧の中にいた。
「ここは・・・、神域か?」
『さっき見た霧がかった場所の中にいるみたいだよ。僕達の力で一時的に領域が広がったんだと思うよ』
「藍大、あそこに目隠しした神様が倒れてるよ」
「行こう」
舞が天之狭霧神らしき神が倒れているのを見つけ、藍大達はすぐにその近くまで駆け寄った。
仰向けに倒れている神は黒い一つ目が描かれた白いバンダナらしきもので目を隠しており、その服装は男性の神職の装束だった。
『ご主人、寝息が聞こえる。天之狭霧神は寝てるみたい』
「やれやれ、びっくりさせやがって」
リルが鑑定した結果を聞いて藍大は大きく息を吐いた。
その直後に天之狭霧神の口が動く。
「寝てませんよ。瞑想してただけです」
「起き上がれますか?」
瞑想していたとは物は言いようだと思ったけれど、藍大はツッコまずに話を続けた。
「よっこいしょ。うん、起き上がれますね。ほんの少しだけ力が増幅されたようです。貴方達が来てくれたおかげです。私は天之狭霧神と申します」
「俺は逢魔藍大。”魔神”だ」
「逢魔舞。”戦神”だよ~」
「逢魔サクラ。”円満具足の女神”」
『僕はリル。”風神獣”だよ』
「私が瞑想してる間に神が4柱も増えたようですね」
「いや、他にも”土神獣”と”水神獣”、”火神獣”も増えたぞ」
「・・・なんということでしょう」
藍大達の自己紹介を聞いて天之狭霧神が誤解してしまったので、藍大はここにいない神も増えたことを告げた。
これには天之狭霧神も一瞬言葉に詰まってしまった。
少しフリーズしてしまった天之狭霧神だが、藍大から感じられる懐かしい気配を感じ取って再起動した。
「藍大からは複数の懐かしい気配がしますね」
「俺は伊邪那美様と伊邪那岐様、天姉、月兄、須佐之男、櫛名田比売の神子でもあるからな」
「何がどうなったら1柱の身でそこまで多くの神子の称号をえることになるんでしょうか?」
藍大から飛び出した説明を聞いて天之狭霧神の顔が引き攣った。
予想の斜め上の回答が返ってくれば無理もないだろう。
「経緯を説明するのは構わないが、天之狭霧神がこのままここに留まってるのもしんどいだろう? 伊邪那美様が統括してる神域があるからそちらに移動しないか?」
「そうですね。瞑想するにも限界が来てるのは事実です。お婆様の神域にお邪魔させていただきましょう。ただ・・・」
「ただ?」
「国之狭霧も連れて行っていただけないでしょうか?」
(よし、やっぱり情報を持ってたか)
藍大は心の中でガッツポーズした。
保護した天之狭霧神から国之狭霧神の名前が出て来たのは実は狙い通りだからである。
天之狭霧神と国之狭霧神は対の存在として知られており、片方を見つければもう片方も見つかると予想していたのだ。
「それは勿論構わないがどこにいるかわかるのか?」
「おそらく戦場ヶ原にいるのではないかと思います」
「わかった。天之狭霧神を連れ帰ったら早速向かおう」
場所さえわかれば藍大にNOという選択肢はないから国之狭霧神を連れ帰ることを承知した。
「ありがとうございます。それと、私のことは天之狭霧と呼んで下さい」
「了解した。天之狭霧、いつでも出発できるか?」
「勿論です」
「リル、よろしく頼む」
『うん!』
藍大に頼まれたリルは<
『おめでとうございます。リルがアビリティ:<
『報酬としてリルに称号”クロノスの感謝”が贈られます』
(そっちのアナウンスが来たか)
藍大は天之狭霧神を連れ帰ったことで何かアナウンスが来ると思っていたが、リルのアビリティの使用回数によってクロノスが復活したので驚いた。
そこに弱っている天之狭霧神の気配を察した神様組がやって来た。
「藍大、よく連れ帰って来てくれたのじゃ。天之狭霧よ、久しいな」
「お婆様、お久し振りでございます。そのお姿はいかがされたのですか?」
「うむ。これは藍大の母親の姿を借りておるのじゃ。既に亡くなっておるが、涼子は本当に妾との適性が高くてのう」
「左様でございましたか。となれば、藍大がお婆様達の神子になられた理由も納得です」
伊邪那美と藍大の関係性を理解したことで天之狭霧は納得した。
しかし、伊邪那岐がちょっと待ったと口を挟む。
「待っておくれよ。確かに藍大は伊邪那美の巫女の血筋だけど、僕の巫女の血筋でもあるんだ」
「お爺様の巫女の血筋ですか? ・・・なんという偶然、いえ、それも運命でしょうか」
「運命なら私に任せて」
「サクラ、話がややこしくなるからちょっとこっちにおいで」
「は~い」
運命と聞いて<
サクラはチャンスだと思って藍大に抱き着く。
舞い込んで来たチャンスを逃さない女神、それがサクラである。
天之狭霧神はサクラに触れなかった。
「お婆様、お爺様に報告します。既に藍大達には話しましたが、国之狭霧はおそらく戦場ヶ原にいるはずです。私と一緒に彼女も受け入れてもらえないでしょうか?」
「勿論受け入れるから安心するのじゃ」
「今は一大事だから神々も力を合わせる必要があるんだよ」
「・・・どういうことでしょう?」
伊邪那岐の言葉の意味がピンと来ていなかったため、天之狭霧神は首を傾げた。
神である自分達が力を失っていることは危機なのだが、伊邪那岐の言葉からはそれ以上の問題を抱えているような気がしてならなかったのである。
伊邪那美が事情をかいつまんで説明したところ、驚き過ぎて天之狭霧神の目隠しがズレた。
「それは本当に一大事ですね。まさか月に邪神がいて、月末までに倒さないと月が破壊されてしまうとは思ってもいませんでした」
「だからこそ、神々を集めて藍大達に力を貸してもらわねばならぬのじゃ。藍大達が月のダンジョンに乗り込むまでに可能な限りのパワーアップをしてほしいからのう」
「わかりました。私も微力ながら力を貸しましょう」
「うむ。じゃが、その前にお主はこの神域で体を休めるが良い。藍大達に見つけてもらわなかったら緩やかに滅びを待つしかなかったのじゃろう?」
伊邪那美に体調について指摘されて天之狭霧神は見栄を張らずに苦笑した。
「お婆様にはお見通しのようですね。では、少し休ませていただきます。藍大、国之狭霧の保護をお願いします」
「任せておけ。伊邪那美様、もしもクロノス様が俺達に会いたいって言って来たら国之狭霧神を連れ帰ってからで頼む。場所さえわかればリルがすぐに見つけるだろうから」
『ワフン、僕にお任せだよ』
「うむ、わかったのじゃ。クロノスには妾からそのように話しておくので安心するのじゃ」
話が終わって藍大達はリルの<
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます