【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第599話 酔龍殺しのクセがすごかったね
第599話 酔龍殺しのクセがすごかったね
逢魔家の昼食はおにぎりパーティーだった。
豊富な種類の具のおにぎりに加え、ミドガルズオルムの唐揚げやシャングリラダンジョンの食材を使ったサラダ、お新香等を用意すればそれだけでみんな大喜びだ。
藍大が喧嘩にならないように管理しているからか、食べたかったおにぎりを食べられない者は誰一人いない。
おにぎりパーティーが終わった後、藍大はサクラに宝箱を開けてもらうことにした。
今日はリル一家だけでなく、帰宅した瞬間に他の食いしん坊ズから早く昼食にしようと催促されたため、宝箱を開けるのは後になったのだ。
「主、今日は何が良いかな?」
「網杓子が良いな。そろそろ買い替えようとしてたし」
「わかった。ちょっと待ってて」
藍大からリクエストされてサクラは宝箱からミスリル網杓子を取り出した。
「ありがとう。これで鍋や天ぷらもグレードアップするぞ」
「楽しみにしてるね」
サクラにお礼を言って藍大はミスリル網杓子をキッチンの網杓子と取り換えた。
それから優月とユノに会いに行く。
「ユノ、お土産の魔石があるんだけど」
「ユノにくれるの? おとうさん、ありがとう!」
「ありがとう!」
「どういたしまして。後でリル達にお礼を言うんだぞ」
「「は~い!」」
元気の良い返事である。
ゴーストライダーの魔石によってユノは<
ユノのアビリティ構成からしてMPを要するものが多いので、このアビリティはあって嬉しいものだろう。
優月とユノに魔石を渡した後、藍大はリルを連れて中庭に出てからドライザーを呼んだ。
「ドライザー、ちょっと来てくれ」
『OKボス』
上空から警備を行っていたドライザーが地面に降りて来る。
「<
『仰せのままに』
ドライザーが承諾したので藍大は収納リュックからグリムリーパーのデスサイズをあるだけ取り出した。
「よし、やるか」
『これらのデスサイズを合成すればよろしいか?』
「その通り。なんかすごいデスサイズが作れるかもしれないし」
『なるほど。実に興味深い』
ドライザーは藍大の考えを聞いてそれに賛同した。
そして、<
光が生じてその中で全てのデスサイズが重なる。
光が収まってできたデスサイズはドライザーの体と同じく漆黒に輝いていた。
『ご主人、すごいよ。アダマントデスサイズができてる』
「マジ? 元はグリムリーパーのデスサイズだぞ? あれって鋼鉄製だったよな?」
『たくさんのデスサイズを合成して新たなデスサイズを作ったから、デスサイズを構成する物質が変化したんだと思うよ』
「茂や職人班が聞いたらどうなるかね」
ただのデスサイズからアダマンタイト製のデスサイズができたと聞いたら、茂はそのメカニズムを解析したがるだろう。
その一方で職人班は優れた腕を持っていても構成する物質を変化させることはできないため、ドライザーの技術力が自分達を上回っていたと聞いたら卒倒するかもしれない。
『ボス、折角だからこのデスサイズを魔改造してエルに渡したい』
「エルに? いきなりどうした?」
『以前からエルはラストリゾートを羨ましがってた。この機会にエル専用の武器を作りたい』
「そういうことか。良いね。作っちゃおうか。DMUに売ってない素材もあるし」
ドライザーの願いを聞いて藍大はニヤリと笑う。
『エルが憑依したらご主人も使うんだし、すごいの作ろうよ』
リルも乗り気なようだ。
ということで、ただのアビリティの実験のつもりがエルの武器開発タイムに変更した。
「さて、どんな素材をアダマントデスサイズに合成すれば良いと思う?」
『ラストリゾートのように変形させたい。そのためには可能性を感じさせる素材が必要ではなかろうか』
『だったらさっきサクラが開けて空になった宝箱を使えば良いんじゃない?』
「『それだ』」
リルの発案に藍大とドライザーの声がハモッた。
藍大は収納リュックから宝箱を取り出した後、思いついたようにカースエクスキューショナーと酔龍殺しの入った瓶を取り出した。
「カースエクスキューショナーをお清めしたら良い素材になると思うんだがどう思う?」
『災い転じて福となすって言うもんね。ありだと思うよ』
(リルってばそんな言葉まで知ってるのか)
『賛成する』
「よし。他に何か候補となる素材に心当たりはあるか?」
あと1,2種類素材を足しても良いのではと思っているので、藍大はリルとドライザーに意見を求めた。
『ミドガルズオルムの牙は?』
『クリムゾンティラノの爪も良かろう』
「わかった。それらも追加だ。こんなものかな?」
『これで良いと思うよ』
『同じく』
三者の意見が揃ったところでドライザーが再び<
光が生じて合成が始まり、光の中で全ての素材が重なって新たな武器が創り上げられる。
光が収まったところで完成した武器はエルのボディと同じで銀色に赤ラインが入っている大剣だった。
『ご主人、どうしよう。できた武器の名前がDDキラーだって』
「DDってまさか
『うん。デスサイズと大剣の形態を使い分けられてアンデッド特攻があるのは良いんだけど、素材にした酔龍殺しの量が多かったみたい』
「最後の最後でネタ要素強いな」
『使える武器なのは間違いない。もしもエルが気に入らなければ、また合成すればよいのでは?』
「それもそうだな」
『そうだね。まずはエルに感想を聞いてみようよ』
自分達だけでああだこうだ言っても結論は出ないから、ドライザーの意見が採用された。
「エル、ちょっと降りて来てくれ」
『承知しました』
エルは藍大に呼ばれて地上に降り立った。
藍大達が中庭で何かやっていることは上空から見ていたらしく、エルはすぐに地上にやって来た。
「ドライザーの<
『私の武器を用意して下さったのですね。ボス、お気遣いいただきありがとうございます』
「そんなにハードルを上げ過ぎないでくれよ? その武器ってのはこのDDキラーだ。ドライザー、渡してあげてくれ」
『OKボス』
『・・・なるほど。空で少し振り回して来てもよろしいでしょうか?』
エルはDDキラーをドライザーから受け取ると、じっくりとそれを観察して何かを感じ取ったらしい。
上空でなら振り回しても迷惑にならないと思ったため、エルはそのように藍大に頼んだ。
「わかった。試してみてくれ」
『ありがとうございます』
エルはDDキラーを持って空へと飛翔し、そこで大剣形態とデスサイズ形態を試した。
DDキラーを握ったエルの演武はとても洗練されていた。
「使いこなしてるな」
『使い心地は良さそうだね』
『満足してくれると良いのだが』
エルを見上げる藍大達の声には緊張感があった。
エルは試しを終えて地上に戻って来ると藍大達に頭を下げた。
『やはり形のある武器は良いですね。ぜひ使わせて下さい』
「気に入ってくれたなら良かったよ。名前が気に食わないって言われるかと思った」
『確かに名前に思うところはありますが、性能自体は今手に入る物としてかなりの品です。素材さえあれば、これから新しい姿と名前に変わるのですし問題ありません』
「そう言ってくれると助かるよ」
エルが名前に難ありなDDキラーを受け取ってくれて藍大達はホッとした。
ドライザーとエルが仲良く上空からの警備に戻っていくと、リルが藍大に声をかけた。
『酔龍殺しのクセがすごかったね』
「そうだな。まさか武器の名前になるとは予想外だったよ」
『これでご主人も今度から武器を使って戦えるね』
「<
戦う魔皇帝フォームになったとして、確かに藍大はDDキラーを扱えるようになる。
しかし、藍大には武器を使って戦った経験がほとんどない。
だからこそ、使いこなせるとは思っていない訳だ。
『それなら僕と一緒に稽古しようよ。僕も<
「
『できることは増やしておいた方が良いかなって。今後何が起きるかわからないでしょ?』
「確かに」
現状でも十分強いリルがもっと強くなろうとしていると知り、藍大はリルを頼もしく思うのだった。
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