【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第557話 吾輩はマスコットではないのだ!
第557話 吾輩はマスコットではないのだ!
地下2階は浜辺ではなく海水が中を流れる鍾乳洞になっている。
このフロアこそ桂浜ダンジョンの探索が難航する原因である。
元々はこのフロアの内装も浜辺だったのだが、吐血のバレンタインの直後に内装が変わってから冒険者達が地下2階から先に進めなくなった。
その原因は
地下1階のフロアボスであるジャイアントボニードがLv50だったのに対し、地下2階の
それまでの
『ご主人、僕の背中に乗る?』
「そうさせてもらおうかな」
リルならば道なき道を進めるし、藍大さえリルに乗せてもらえば探索の障害はない。
一般的な冒険者達ならば、舟でもなければ先に進めない。
仮に舟を持って来るとして、1階と地下1階の探索中に舟を引っ張って行かなければいけない。
状況によっては1階と地下1階のモンスターに舟を潰されてしまうから、地下2階の探索が難航していた訳だ。
「殿、拙者にこのフロアは任せてほしいでござる」
「モルガナに何か策があるのか?」
「リル先輩の攻撃を参考にやってみたいことがあるでござる」
「わかった。任せる」
モルガナは頷いて水面に向かって<
ブレスが触れた場所から徐々に海水が凍り始め、藍大の視界に入る範囲は全て凍り付いた。
モルガナはリルが海面に攻撃して一網打尽にしていたのを思い出し、海水を利用した全体攻撃を仕掛けたのだ。
「これだけじゃ終わらないでござるよ!」
モルガナは続いて<
それにより、力尽きたモンスター達の死体が水面に浮かび上がって来た。
『モルガナは称号”掃除屋殺し”を会得しました』
(何を倒したんだかわからないまま称号が手に入っちゃったよ)
そんなことを思いつつ、藍大はリル達と共に戦利品の回収を始める。
海面に浮いている大半はシーデビルと呼ばれる一つ目の蛸のようなモンスターだ。
そして、それらの死体に”掃除屋”のプレデターアングラーLv65が混ざっていた。
プレデターアングラーは鰭が無数の触手で形成されたチョウチンアンコウという見た目であり、オブラートに包まず言えば気持ち悪い。
ただし、モンスター図鑑によれば珍味らしいからゲテキングが見つけて喜ぶモンスターなのだろう。
「モルガナ、よくやった」
「拙者もやればできるのでござる」
胸を張るモルガナはいつでも頭を撫でてOKと態度で示すので、藍大はその期待に応えてあげた。
戦利品回収を終えてフロアボスを探して回ると、何度か戦闘を終えた後に一つ目の烏賊らしきモンスターが姿を現した。
烏賊と違うのは色が黒くて一対の翼が生えていることだろう。
「シーデーモンLv70。奴は飛べるらしい」
藍大がそう告げた瞬間、シーデーモンが海面から空に飛び上がった。
「気持ち悪いでござる!」
モルガナはシーデーモンの見た目が苦手だったらしく、<
雨の一粒一粒を全て避け切ることはできず、避けたと油断した先で一撃喰らってからは連続して命中したのだ。
「数撃てば当たるでござるよ」
「お疲れ様」
「フフンでござる」
シーデーモンを倒して得意気なモルガナは藍大に頭を撫でてもらってご機嫌だ。
シーデーモンの死体を回収したら、まだまだ時間に余裕があるので藍大達はそのまま地下3階に移動した。
まだまだダンジョンは続くと思いきや、地下3階にはいきなりボス部屋の扉があったのでここが終着点なのだろう。
藍大達は特に疲れていなかったので、そのままボス部屋の中に入った。
ボス部屋は中心の足場とそれに続く道以外は全て海水であり、中心の足場の奥にモスグリーンの体表の大蛇がいた。
「キャラ被りでござる!」
「パッと見た感じ似たフォルムなのだ」
モルガナのシャウトにブラドが冷静にツッコんだ。
「某はミズチでござる。頭の悪そうなマスコットと一緒にしないでほしいでござる」
「キャラ被りじゃねえか!」
大蛇と龍は別の種族だが見た目は類似している。
それがござる口調で”ダンジョンマスター”の称号まであれば藍大もツッコまずにはいられなかった。
「誰が頭の悪そうなマスコットでござる!」
モルガナが異議を唱えている間に藍大は自称ミズチのステータスを確認する。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:ミズチ
性別:雌 Lv:75
-----------------------------------------
HP:1,800/1,800
MP:2,200/2,200
STR:1,800
VIT:1,500
DEX:1,800
AGI:1,500
INT:1,800
LUK:1,500
-----------------------------------------
称号:ダンジョンマスター(桂浜)
希少種
アビリティ:<
<
<
装備:なし
備考:苛立ち
-----------------------------------------
(アビリティまで一部被ってんじゃん)
見た目と口調、”ダンジョンマスター”という共通点で終わらず、<
知れば知る程モルガナとミズチが被っており、藍大は被りを見つけてツッコむのも面倒になって来た。
「ブラド、ミズチの相手は任せるぞ」
「勿論である」
「某はマスコットなんかに負けぬでござる!」
ミズチはブラドに向かって<
「吾輩はマスコットではないのだ!」
マスコット扱いされてキレたブラドが<
怒りで増幅された威力の<
炎が収まった時には水面に浮かぶミズチの死体だけが残っていた。
『モルガナがLv96になりました』
『ブラドの称号”アークダンジョンマスター”が称号”ダンジョンロード”に上書きされました』
『おめでとうございます。逢魔藍大が世界で初めて”ダンジョンロード”の従魔を所有しました』
『初回特典として伊邪那岐の力が60%まで回復しました』
『報酬として逢魔藍大の収納リュックに
ブラドがミズチからダンジョンの支配権を奪い取ったことにより、”アークダンジョンマスター”から”ダンジョンロード”になった。
数の増えて来た
「おめでとう、ブラド。
「”アークダンジョンマスター”とは違うのだよ、”アークダンジョンマスター”とは」
「よしよし。報酬として神苺の種も手に入ったから、メロに頼んで美味しい苺を食べような」
『苺! ロールケーキが良いな!』
「王道のショートケーキを忘れてはならぬぞ」
リルとブラドが苺をどうやって食べるか話して盛り上がっている一方で、モルガナはプルプルと震えていた。
「殿、拙者も早く”アークダンジョンマスター”になりたいでござる!」
怠惰でお馬鹿な面が見られるモルガナだが、ブラドが”ダンジョンロード”になったことを羨ましく思っているようだ。
「わかった。明日から他所のダンジョンを攻略しに行こう」
「約束でござる!」
モルガナがやる気になったことに興味はないらしく、ゲンが<
「わかってるって。ミズチの魔石はゲンにあげるさ」
「感謝」
藍大はミズチの死体から魔石を摘出してゲンに与えると、ゲンの甲羅が宝石に引けを取らない輝きを放つ。
『ゲンのアビリティ:<
(まだ上があったのか)
<
今まではゲンの全ての力が藍大にレンタルされたが、アビリティの強化によってゲンの心が折れない限り装着者に一切のダメージが通らない効果が追加された。
「ゲン、これからもよろしく」
「了解。撫でて」
「よしよし」
今日は甘えたい気分のようなので、藍大はゲンが満足するまで撫でた。
その後、ミズチの解体と回収を済ませて藍大達は帰宅した。
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