【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第345話 溜め込んだストレスを発散できて良かったな
第345話 溜め込んだストレスを発散できて良かったな
一旦距離を取ったアシュラは<
「「「せいっ!」」」
「タンクは迎撃! メイジは隙を作れ!」
「グォォォッ!」
タンクは<
「ニャン!」
「「「猪口才!」」」
メイジは<
「ソード、ニンジャ、モンク!」
「グルァァァッ!」
「キュッ!」
「ウキッ!」
リーアムが合図を送ることで、ソードとニンジャ、モンクがそれぞれ左右と後方から攻撃を仕掛ける。
「おのれ!」
「鬱陶しい!」
「オラオラオラァ!」
接近するソード達に気づき、アシュラは<
ソード達はアシュラのアビリティの切り替えに気づくのが遅れ、その攻撃を受けてしまう。
「ニャ!」
「「「ぐはっ!?」」」
みんなの攻撃は無駄にしないとメイジが<
「ヒーラー、ソード達の回復! タンクはその時間稼ぎだ!」
ヒーラーは自分に近いソードから順番に<
「グォォォ!」
タンクはメイジの<
アシュラは後方に吹き飛ばされたものの、<
それでも、ソード達のHPを回復する時間はしっかり稼げた。
ソード達もやられっぱなしは趣味じゃないらしく、アシュラを包囲するようにチクチクと攻撃を加えていく戦法に変更した。
ソードとニンジャ、タンク、メイジ、モンクが交代で隙なく攻撃していけば、いくら3つの顔と6本の腕を持つアシュラでも対処漏れが生じてダメージが蓄積されていく。
「メイジ、とどめだ!」
「ニャン!」
「「「無念」」」
疲弊したアシュラに向かってメイジが<
(アシュラを倒せる実力があれば十分だな)
藍大はリーアム達の戦闘を見届けてからそのように判断を下した。
リーアムは藍大からA国に対する抑止力になり得ると判断されたのである。
「WOW! アシュラは経験値たくさんあるね! ソード達が進化できるよ!」
ソード達を労っていたリーアムは、先程の戦闘でソードとニンジャ、タンク、ヒーラーが進化できることを知った。
それからは4体連続の進化ラッシュだった。
スラッシュタイガーのソードは牙や爪だけでなく、尻尾の先が刃になったブレードタイガーに進化。
ヴォーパルバニーのニンジャは猛者のオーラ全開のジェノサイドバニーに進化。
クロスアームドベアのタンクは先程倒したアシュラのように三面六臂のアシュラベアに進化。
カーバンクルのヒーラーは額の赤い宝石の輝きが増したワオキツネザルの見た目のブライトカーバンクルに進化。
リーアムはソード達の進化した姿を見てホクホク顔になった。
「モフモフ王国完成の時は近いね!」
「リーアム君のモフモフ王国、侮り難し!」
(2人のモフモフ王国が完成したらリルは心の平穏を取り戻せるか? いや、ないな)
モフラーの探求心に終わりはなさそうだと思い、藍大は望み薄だと判断した。
それはさておき、戦いを終えたリーアムに藍大は声をかけた。
「それだけの実力があれば帰国しても問題なさそうだな」
「ありがとうございます! 早く帰国して姉さんにモフモフ見せてドヤ顔します!」
「リーアム君、シンシアに喧嘩で勝てたことないでしょ? 止めときなさい」
「そんなぁ・・・」
シンシアとリーアムの力関係を理解しているので、真奈はリーアムがシンシアを煽ろうとするのを止めた。
モフラー同士の無益な戦いを未然に防ぐあたり、真奈はモフラーの中でも徳の高いモフラーのようだ。
リーアムの実力試しは終わったので、藍大達は道場ダンジョンを脱出しようとした。
「クゥ~ン」
『ご主人、ちょっと待って』
「どうしたリル?」
『ガルフが自分もここで戦ってみたいんだって』
「グルゥ」
リルの言葉にお願いしますと言わんばかりにガルフが藍大に頭を下げた。
どうやらガルフはリーアム達が戦っているのを見て、自分もここで戦いたくなってしまったらしい。
(ガルフも色々ストレス溜まってるだろうし、ストレス発散させてあげるか?)
藍大はガルフに甘かった。
正確には甘いというよりも同情していると表現すべきだろう。
「逢魔さん、私からもお願いします。この機会に私の調教士としての成長を見てもらいたいです」
「わかりました。リーアム君、休憩がてら観戦しててくれ」
「了解です」
リーアムは嫌そうな表情を見せず頷いた。
彼も真奈がそう言い出すかもしれないと予想していたようだ。
「【
真奈はガルフ以外の従魔を召喚した。
メルメはソープシープからさらにモコモコしたスイープシープに進化しており、ロックは藍大達がテイムに同行した時とは違って全身が強化外骨格の鎧を装備したアームドディアーに進化していた。
更に言えば、藍大が初めて見るフロストマウスという真っ白な鼠まで増えていた。
藍大がステータスを確認する限りでは、チュチュは氷属性の魔法系アビリティを会得した後衛だった。
まだLv50と真奈の他の従魔にしてはレベルが低いことから、まだテイムしてから日が浅いのだろう。
「主君よ、次は何を召喚する? アシュラを連続して召喚するのは芸がないのではないか?」
「それもそうだな。じゃあハーピーでどうだ? 太宰府ダンジョンにいた奴」
「ふむ。あれぐらいが丁度良いか」
ブラドは藍大の意見に同意してハーピーLv80をボス部屋の上空に召喚した。
ハーピーは召喚されてすぐにチュチュを見つけてにっこりと笑いかけた。
「ワタシソイツマルカジリ」
「チュッ!?」
「私のチュチュは食べさせないわ! ガルフ、メルメ、ロック、やっておしまい!」
それだけ言うと、真奈は具体的な指示を出すことなくガルフ達を戦わせた。
これには調教士が二次覚醒で手に入れた力が影響している。
従魔士や死霊術士が二次覚醒するとモンスターを融合できるようになるが、調教士の二次覚醒で会得する力は主と従魔のテレパシーなのだ。
敵が言語を理解する知能のあるモンスターだった場合、このテレパシーは非常に役に立つ。
口では偽の指示を出して正しい指示はテレパシーで伝えるなんて使い方もできるし、そもそも何もしゃべらずにテレパシーだけで指示を出すから敵に意図を悟らせないなんてこともできる。
ちなみに、藍大のパーティーだと従魔達が藍大の意図を察して自発的に行動できるからテレパシー要らずである。
ハーピーは真奈達がどうやって攻めて来るかわからなかったので、上空から真奈達に向かって<
「フットベ!」
「フィヨォォォン!」
ロックが<
ハーピーが攻撃した直後の隙を狙って今度はガルフが攻撃を仕掛ける。
「ウォン!」
ガルフの<
「メェ~」
メルメは墜落するハーピーに<
この<
「アォン!」
ガルフが続けて<
元々HPが高くないハーピーはガルフの追撃で力尽き、物言わぬ死体になってしまった。
「アォォォォォン!」
「メルメルメェェェェェ!」
「フィヨォォォン!」
ガルフ達は勝鬨を上げた。
ガルフもメルメもロックもとてもスッキリした表情になっていた。
(溜め込んだストレスを発散できて良かったな)
藍大はガルフ達の声を聞いてそんな風に感じた。
『ご主人はずっとこのままでいてね? 天敵みたいになっちゃ駄目だよ?』
「勿論だ。俺は嫌がることはしないからな」
「クゥ~ン」
ガルフ達の声に何か感じるものがあったらしく、リルは藍大に声をかけた。
藍大が当たり前じゃないかと優しく微笑んで頭を撫でると、リルはホッとした様子で嬉しそうに身を委ねた。
「みんなお疲れ様! よく頑張ってくれたわね!」
「チュ~!」
真奈が労いの声をかけるのに合わせ、チュチュもみんなすごかったと尊敬の眼差しを向けた。
ガルフ達は後輩から尊敬の眼差しを向けられて得意気だった。
もっとも、そんな顔も真奈にモフラれてすぐに疲れた表情に変わるのだが。
「僕も二次覚醒したらあんな風に戦えるのか。良いね!」
リーアムは真奈の戦いを見て早く二次覚醒したいという思いを強めたらしい。
真奈が最後は持っていった感は否めないが、こうしてリーアムの実力試しは無事に終わった。
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