【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第325話 いあ! いあ! くとぅるふ ふたぐん!
第325話 いあ! いあ! くとぅるふ ふたぐん!
クリーナースライムのいた場所から一直線に進み、藍大達はすぐにボス部屋の扉の前に到着した。
リルが<
「何もいない?」
『何か来る!』
藍大が首を傾げていたところでリルの耳が何かを感じ取り、リルの言葉で全員が警戒態勢を取った。
その直後、水中からきりもみ回転しながら巨大なレイピアみたいに見える魚が飛び出した。
「舐めんじゃねえぞゴラァ!」
急接近するモンスターに対し、舞が雷光を纏わせたミョルニル=レプリカを全力で上から叩きつけた。
回転して舞の攻撃の衝撃を受け流そうとしていたようだが、舞のゴリ押しには勝てずにあっさりと藍大達の立つ足場に叩きつけられた。
ミョルニル=レプリカで殴られたダメージと地面に叩きつけられたダメージがHPを上回ったらしく、ボスモンスターはそのままピクリとも動かなくなった。
『フィアがLv88になりました』
『フィアがLv89になりました』
(舞ってやっぱすごいんだなぁ。1人でSランクだし)
システムメッセージが勝利を告げたことで、藍大は地下4階のボス戦があっさりと終わったことを理解した。
また、自分がサクラ達の戦力込みでSランクなのに対し、舞は1人でSランク認定されるだけあると改めてその強さを思い知った。
「藍大、これフロアボスだよね?」
「レイピアダーツLv80。フロアボスだぞ。グサダーツが進化したらこれになるんだって」
「そうなんだ~。それならきっと美味しいよね」
「そうだな。折角舞が一撃で仕留めてくれたんだし、昼食で美味しく料理してみせるさ」
「やった~!」
『お昼が楽しみだね!』
「楽しみだ。美味い魚料理を期待するぞ」
食いしん坊ズはレイピアダーツを使った昼食を予告されてテンションが上がった。
『主さん・・・、魔石・・・』
「ん? ゲンはレイピアダーツの魔石が欲しいのか?」
『欲しい』
それだけ言うと、ゲンは<
クリーナースライムの魔石には食指が動かなかったようだが、レイピアダーツの魔石には興味を持ったらしい。
藍大はレイピアダーツの魔石を回収してからゲンにそれを与えた。
魔石を飲み込んだ瞬間、ゲンの体から強者としての存在感が強まった。
『ゲンのアビリティ:<
「ドヤァ・・・」
「よしよし、また防御力が上がったな」
ゲンがドヤ顔で撫でろと言わんばかりの目を向けて来るものだから、藍大はそのリクエストに応えて優しくゲンの頭を撫でた。
ゲンは満足するまで撫でられてから再び<
これにより、今の藍大はゲンのおかげであらゆる攻撃の効果が75%カットされるようになった。
ただでさえゲンのVITは高いと言うのに、<
その後、グサダーツの回収を済ませたところで藍大達は地下5階へと進んだ。
階段を降りたら再び扉があった。
「どうやら地下5階が最下層らしいな」
「そうだね~。どんな”ダンジョンマスター”かな~?」
「吾輩に比べればきっと大したことないぞ」
「わかってるって。ブラドは”アークダンジョンマスター”だもんな」
「わかっておれば良いのだ」
ブラドは藍大に頭を撫でられてご機嫌だった。
自分がそこらの
今度もリルが扉を開けると、中にいたのは蠢く蛸足の髪に赤い目をした男性だった。
いや、男性と表現するよりも男型のモンスターというのが正しい。
背中からは蝙蝠の翼が生えており、服の代わりに頭以外が緑色の鱗が生えているからだ。
藍大はすぐにモンスター図鑑で五稜郭ダンジョンの”ダンジョンマスター”について調べてみた。
-----------------------------------------
名前:なし 種族:クトゥルフ
性別:雄 Lv:90
-----------------------------------------
HP:1,500/1,500
MP:2,000/2,000
STR:1,500
VIT:1,500
DEX:1,800
AGI:1,200
INT:2,000
LUK:1,300
-----------------------------------------
称号:ダンジョンマスター(五稜郭)
旧支配者
アビリティ:<
<
<
装備:なし
備考:いあ! いあ! くとぅるふ ふたぐん!
-----------------------------------------
(クトゥルフ神話の連中は備考欄でSAN値削りに来るのがお決まり?)
ゲンが<
「覗き見、不快」
それだけ言うと、クトゥルフは<
そして、藍大に向かってレーザー並みの勢いで水を射出してから駆け出した。
「舞が防御! リル、<
「任せな!」
『わかった!』
舞が光を付与したアダマントシールドでクトゥルフの飛ばした水を防ぎ、リルがクトゥルフと一瞬で距離を詰めて<
VITやあらゆる耐性を無視した神聖な斬撃を放つこのアビリティは、邪神とされるクトゥルフにとって効果は抜群だった。
<
「いあ・・・、いあ・・・」
それだけ言ってクトゥルフは力尽きた。
『フィアがLv90になりました』
『フィアがLv91になりました』
「吾輩のターン。掌握完了」
システムメッセージが鳴り止んだ時、ブラドが”アークダンジョンマスター”として五稜郭ダンジョンを支配した。
これで”ダンジョンマスター”が不在でも五稜郭ダンジョンは存続し続け、ブラドがいる限りスタンピードの起きないダンジョンへと生まれ変わった。
「みんなお疲れ様」
「ありがと~」
『ご主人、僕すごかった?』
「造作もないぞ」
「リルはすごかったな。サクラがいない今、リルの切り札が頼りだ。これからも頼むぞ」
『ワフン♪ 任せてね!』
「愛い奴め」
藍大はリルをわしゃわしゃと撫でた。
サービスタイムが終わってから、藍大はクトゥルフの死体を回収して魔石を取り出した。
その魔石はブラドに与えられた。
『ブラドのアビリティ:<
「使い勝手が良くなったみたいだな」
「うむ。制限が取り払われたのはありがたいぞ。本体の方であれこれ試しておく」
「何を創るつもりだ?」
「決まっておろう。主が作ったハンバーグを特大サイズで再現するのだ」
「・・・ブラドはそのままでいてくれよな」
「む? よくわからんがわかった」
世にも恐ろしい物すら制限なしで創造できるようになったブラドだったが、その頭の中は藍大に餌付けされていることで平和な使い道を示した。
これなら安心できると藍大がホッとしたのは言うまでもない。
それから、五稜郭ダンジョンでやることは終わったのでリルの<
シャングリラに戻ってすぐ、藍大はサクラに宝箱を見せた。
「サクラ先生、宝箱を持ち帰ったぞ。いつもみたいにお願いしても良いか?」
「任されました」
サクラはその道のプロのような雰囲気を纏い、藍大達が持ち帰った宝箱の蓋を開けた。
宝箱の中からサクラが取り出した物は、いつもの輝きをした料理ばさみだった。
(ミスリル料理ばさみ。安定のミスリルシリーズだな)
「ありがとな、サクラ。また料理に使わせてもらうよ」
「どういたしまして。主の役に立つ物を引き当てられて良かった」
「サクラが引き当ててくれた物が役に立たない訳ないだろ?」
「主・・・。大好き♡」
妊娠してパーティーから外れた今、サクラは宝箱を開けることでしかダンジョン関連で役に立てないと思っている。
それゆえ、藍大にミスリル料理ばさみを喜んでもらえてサクラは嬉しいのだ。
サクラが幸せそうに抱き締めて来るから、藍大も優しく抱き締め返した。
自分達が出かけている間、優月の面倒を安心して任せられるサクラの存在は替えが利かない存在なので、サクラが役に立たないなんてことはあり得ない。
自分とハグをして元気になったサクラを確認した後、藍大は食いしん坊ズが待ち侘びる昼食作りに移った。
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