【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第302話 マスターに大事な話があるのよっ
第302話 マスターに大事な話があるのよっ
帰宅した藍大は茂に多摩センターダンジョンを支配した旨を連絡した。
多摩センターダンジョンについては、DMUが管理して”楽園の守り人”と”迷宮の狩り人”に優先利用権があるレンタルということになった。
”楽園の守り人”のクランハウスがシャングリラにある以上、多摩センターダンジョンで何か起きた時に誰かしらがすぐに駆け付けられるとは限らないからだ。
人数に余裕があるクランならば、誰かを順番で常駐させれば管理できるかもしれないが”楽園の守り人”では厳しい。
ドライザーのような自衛しつつ飲まず食わずで見張りができる従魔が複数いるなら管理できるかもしれないが、現状ではそれは実現不可能だ。
スタンピードはブラドが防げたとしても、ダンジョン回りの治安維持までは管轄外だろう。
DMUからしてみれば、絶対にスタンピードが起きないダンジョンの管理代行なんて美味しい条件でしかない。
”迷宮の狩り人”にも優先利用権を与えるようにした理由だが、彼等が挑むダンジョンに悩んでいたので次のダンジョンに丁度良いと思って藍大が付け加えた。
藍大は本当に面倒見の良い先輩、いや兄貴分である。
茂と多摩センターダンジョンの今後について話を終えると、藍大はサクラに宝箱を渡した。
「サクラ先生、今日もお願いします」
「任されました」
その道何十年のプロのような雰囲気を醸し出しつつ、サクラはガバッと宝箱を開けた。
宝箱の中にはいつもと同じ輝きのおたまが入っていた。
サクラが手に持ったそれをモンスター図鑑で調べたところ、やはりミスリル製のおたまだった。
「主、スープが美味しくなりそうだね」
「そうだな。早速使ってみるわ」
手に入れたミスリルおたまを使うべく、藍大は早速キッチンへと向かった。
舞達もできることを手伝い、ブラドの”アークダンジョンマスター”就任とミオの”水聖獣”就任記念の豪華ランチ作りが始まった。
お祝いの主役達のリクエストを聞き入れ、今日のランチのメニューは以下の通りとなった。
オードブルはクラッカーにロケットゥーナの自家製ツナマヨとマスクドトマトのスライスを乗せたもの。
スープはメロが家庭菜園で作ったトウモロコシのスープ。
サラダは木曜日のダンジョン食材とダイヤカルキノスの身を使ったもの。
魚料理はデメムートの照り焼き。
肉料理と主食はセットでジズのからあげ丼(米はライスキュービーを使用)。
デザートはヘイズルーンの
ドリンクはバトルトレントの
全員が食卓に着けば、早く食べたいと言わんばかりの目で訴える食いしん坊ズのために早速食事の号令をかける。
「「「・・・「『いただきます!』」・・・」」」
『φ(c・ω・。)ψ』
各々好きな料理を食べ始めた。
「壁ドンも良いけど唐揚げ丼も良いね!」
『お口の中が命の輝きに溢れてるよ!』
「吾輩、本当に主君の配下になって良かった!」
「こんな美味い魚料理が食べられて幸せニャ~!」
前々からその兆候はあったが、ミオもどうやら食いしん坊ズに合流するらしい。
他の従魔達も美味しそうに食べているのだが、ミオのリアクションは食いしん坊ズのそれと変わらなかった。
藍大達はその後も豪華ランチを楽しみ、食卓の上から料理がなくなる頃には全員の顔が緩んでいた。
幸福ならぬ幸腹状態である。
食休みと食器の片付けが終わり、102号室では各々が好きに過ごし始めた。
そんな中、藍大はゴルゴンとメロ、ゼルの3人に呼ばれて寝室まで来ていた。
「3人共どうしたんだ?」
「マスターに大事な話があるのよっ」
「私達は真剣です。マスターも真剣に話を聞いてほしいです」
『宜しくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ』
(なんだろう? 二つ名から幼女を取り払うための相談か?)
藍大の予想は外れていた。
幼女の見た目を脱却すれば、藍大が幼女と結婚するのはちょっとと言って断ることはなくなる。
その点ではまるっきり的外れという訳でもないが、どんなに甘い国語の教師でも藍大の回答に丸は付けないだろう。
「わかった。俺も真面目に聞くよ。ゴルゴン達の話を聞かせてくれ」
笑ったりしないように覚悟を決め、藍大はゴルゴン達にどんな話をしたいのか訊ねた。
すると、ゴルゴンがいきなり勝負に出た。
「マスター、アタシ達とも結婚してほしいわっ」
この流れに乗り遅れると自分達も間抜けな感じになるから、メロとゼルもそれに続く。
「私達もマスターの奥さんにしてほしいです!」
『| ∟〇∨∈ У〇∪(*´∀`*)』
「・・・えっ!?」
藍大は自身が予想していなかった展開に耳を疑った。
咄嗟に「え? なんだって?」と難聴系主人公のようなリアクションを取る無粋な真似はしなかったが、それでも驚いたのは事実である。
しかしながら、驚く一方でゴルゴン達がどうして昨日から急激に背を伸ばしたがったのか合点がいった。
自分が幼女とは結婚できないと言うことを考慮し、その可能性を潰すために魔石をせがんだことを理解したのだ。
藍大が即答できずにいると、ゴルゴン達は言葉を続ける。
「アタシ達もマスターの子供を産みたいのよっ。優月を見てマスターとの子供がすっごく欲しくなったわっ」
「名付け親だけでは満足できないです! 私達の中の女の部分がマスターの奥さんになって子供を作れと言って来るです!」
『欲しい!o(*>ω<*)o』
「そんなに俺のことを好いてくれてたのか。てっきり父親に対する親愛の情だと思ってたんだが・・・」
「アタシ達は優しくて頼りになってご飯の美味しいマスターを最初から
「そうです! 私の耳はマスターにしか触らせたくないぐらい大好きです!」
『゚+.゚愛.゚+情(*´д《гоνё γоч》д`*)不滅+゚成+.゚』
自分達に優しくてあらゆる面で頼りになり、毎日のご飯はとても美味しい。
こんなに良い条件が他にあるだろうかと言わんばかりにゴルゴンが訴える。
メロも以前耳を触らせてほしいと舞に言われた時、藍大にしか触らせないと宣言した。
すぐに恥ずかしくなって藍大に抱き着いて顔を隠したが、あれは自分の耳が敏感で番にしか触らせないと決めていたからそう言ったのであり、その時点でメロは藍大のことを意識していたことになる。
ゼルは吹き出しで藍大が好きだと訴えるだけでなく、首から提げたホワイトボードにも自分がいかに藍大が好きなのかを書いてアピールしていた。
ここに来て喋れないという特徴が目立つものの、今のゼルの顔文字も手書きの文章もいつになく気合が入っていてそんなハンデを物ともしていない。
藍大は結論を出すにあたって2つのことで悩んでいた。
1つ目はゴルゴン達が昨日まで幼女だったからという訳ではなく、ただでさえ舞とサクラと結婚しているのにさらに3人も妻を増やしても自分がみんなを優劣付けずに愛せるのかと気になったからだ。
だが、よくよく考えてみると結婚するかしていないかという違いがあるだけで、結婚したからと言って普段のゴルゴン達への態度が変わるとも思えなかった。
そう考えると少しだけ気分が楽になった。
2つ目は舞とサクラがゴルゴン達の気持ちを聞いてどのように感じるか心配なことだ。
今までと関係が変わることで、女性陣の仲が悪くなるのではないかと不安になったのだ。
藍大が葛藤していると、寝室のドアを開けて舞とサクラが入って来た。
「藍大、私達はゴルゴンちゃん達が奥さんになることを認めてるよ」
「主のことだから、私達のことを考えて悩んでると思って来ちゃった」
「タイミング良過ぎない?」
「ゴルゴンちゃん達が心配で立ち聞きしてたの」
「特にゴルゴンが暴走しそうだったから」
「だよね~」
「酷い言われようなのよ!?」
舞とサクラに自分がやらかすと思われていたことにゴルゴンはショックを受けていたが、メロとゼルは隣でうんうんと頷いていた。
「確かにそうです。ゴルゴンがいきなり告白するから焦ったです」
『ヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ』
「まあそういう訳で、私もサクラもゴルゴンちゃん達と上手くやれるって思ってるからそこが心配なら全然大丈夫だよ」
「後は主の気持ち次第」
そこまで舞とサクラに言われてしまえば、藍大の迷いは完全に断ち切れた。
「ゴルゴン、メロ、ゼル」
「はいなっ」
「はいです!」
『(´・∀・`)?』
藍大に名前を呼ばれてゴルゴン達は緊張しながら返事をした。
ところが、その緊張は不要なものだった。
「俺のことをそこまで愛してくれてありがとう。3人さえ良ければ俺と結婚しよう!」
「「マスター!」」
『ヽ(≧▽≦)ノ"ワーイ』
ゴルゴン達は嬉しさの余り藍大に駆け寄って抱き着いた。
家ではゲンが<
嬉しさの余り泣き出すゴルゴン達を見て、藍大は困ったような笑みを浮かべて順番に頭を撫でる。
こうして、ゴルゴン達は無事に藍大の第三夫人~第五夫人の座に収まるのだった。
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