【Web版】大家さん、従魔士に覚醒したってよ(書籍タイトル:俺のアパートがダンジョンになったので、最強モンスターを従えて楽々攻略 大家さん、従魔士に覚醒したってよ)
第203話 カルシウム足りてんのかオラァ!
第203話 カルシウム足りてんのかオラァ!
翌日の金曜日、藍大達は3日連続で道場ダンジョンにやって来た。
今日は6階から探索を始めようと来た訳だが、朝から道場ダンジョンに集まっていたクラン無所属の冒険者達が藍大達の登場に目を奪われていた。
「魔王様だ」
「魔王様がお越しになられたぞ」
「あのスライムはなんだ? 新しい従魔なのか?」
(もしかしなくても俺が魔王様って呼ばれてる?)
藍大は自分がテイマーさんではなく魔王様で呼ばれていることに気づいた。
「藍大の二つ名がすっかり魔王様だね」
「これが主の偉大さだよ」
『流石ご主人だね』
「アタシ達にも視線を感じるわねっ」
「私達も有名みたいです」
舞を筆頭にパーティーメンバー達は呑気に会話をしていた。
「先を急ぐぞ」
じろじろ見られていると気分が落ち着かないので、藍大は舞達を連れてダンジョン6階へと移動した。
6階にはギャラリーもやって来れない。
それゆえ、6階に着いてようやく藍大は落ち着くことができた。
「結構冒険者が集まってたな」
「魔王様って呼ばれた感想はどうかな~?」
「テイマーさんよりも魔王様の方が強そうだから良かった」
「藍大も二つ名を気にしてたんだ?」
「俺も男の子なんでね」
「私も撲殺騎士から二つ名チェンジした~い」
藍大が魔王様と呼ばれるようになるならば、自分だって撲殺騎士から別の二つ名になって良いじゃないかと舞は希望を口にする。
「主、私達の二つ名は変わってないの?」
『僕も気になる』
「言われてみれば変わってるかも。調べてみよう」
藍大はサクラとリルに頼まれてこの場にいる従魔達の二つ名に着いて調べ始めた。
その結果、サクラとリルの二つ名がそれぞれ魔王様の筆頭従魔と魔王様の
ゲンとゴルゴン、メロは元々二つ名がなかったが、以下のように新しく二つ名が付いていた。
ゲンは魔王様の守り
ゴルゴンは魔王様の蛇髪幼女。
メロは魔王様の耳長幼女。
ゼルの存在は多くの冒険者に今日初めて認知されたため、二つ名はまだ存在しなかった。
二つ名を調べた結果を聞くと、サクラ達は喜ぶ者と落ち込む者に二分された。
「筆頭従魔の方が頼りになりそうで嬉しい」
『僕も神狼って強そうで良かったよ』
『悪くない』
「蛇髪幼女ってそのまんまじゃないのよっ」
「耳長幼女だって見たまんまです! やり直しを要求するです!」
サクラとリルは文句なしに喜んでおり、ゲンもローブに憑依している今は藍大にしか声は届いていないがその声は弾んでいた。
その一方、ゴルゴンとメロは自分達の二つ名に物申したいようだ。
「ゴルゴンちゃんとメロちゃんは私と同じだね~。私も撲殺騎士は嫌なの」
「そうねっ。もう一考すべきだわっ」
「本当です! あんまりです!」
ゴルゴンとメロは舞の言葉に頷いてプリプリと怒っていた。
だがちょっと待ってほしい。
ゴルゴンとメロは人前で戦うことがなかったからどのように戦うか知られていない。
だとすれば見た目で二つ名が付くのは仕方のないことではないだろうか。
そんな時に6階のモンスターが現れた。
『ご主人、
「リル、その骨はばっちいから止めなさい」
『えぇ~』
「別のおやつ作ってあげるから」
『わかった!』
藍大達の前に現れたのは6体のスケルトンだった。
スケルトンは長い間放置されていた墓がダンジョンとなった場所で見られるモンスターであり、その両手には片手剣と盾があった。
リルはそんなスケルトンを見て噛みつきたくなったらしいが、藍大に別のおやつを作ってもらえるとわかるがおとなしく言うことを聞いた。
リルの頭の中では藍大の作る食べ物>骨の式が成り立っているからだ。
「メロ、スケルトン達を1ヶ所にまとめて拘束してくれ」
「捕まえるです」
メロは藍大の指示通りに<
「ゴルゴン、爆破して良いぞ」
「アタシのターンなのねっ」
ゴルゴンは嬉々として<
『ゼルがLv47になりました』
スケルトンが木っ端微塵になった直後、藍大の耳にシステムメッセージが届いた。
スケルトンはLv51~Lv55までバラバラにおり、分配してもゼルがレベルアップするには十分な経験値を残して逝ったようだ。
「よしよし。ゴルゴンもメロもよくやったな」
「スッキリしたわっ」
「はいです!」
藍大に頭を撫でられてゴルゴンもメロもすっかり機嫌を良くした。
本当ならばゼルに戦わせるべき相手だったが、二つ名のことでがっかりしていた幼女コンビに気分転換をさせるべく戦わせたのである。
ルーインドの骨ならばまだしも、ただのスケルトンではその骨に大した価値はない。
ゴルゴンに爆破させればスッキリしてもらえるし、メロは連携が決まると気分が良さそうなので藍大の指示は幼女コンビの満足するものだった。
その上、藍大が褒めてくれれば彼女達も役に立てたと喜び、自分達の二つ名を聞く前まで機嫌が直った。
状況を見て従魔のケアができるのだから、藍大は従魔士として優秀だと言えよう。
とは言ったものの、今の爆発音で6階にいる各種スケルトン達が藍大達のいる場所に向かってわらわらと集まって来た。
藍大達の視界に映ったのは槍を持ったスケルトンランサーと弓を持つスケルトンアーチャー、両手に盾を持つスケルトンタンク、襤褸切れに木の棒を持ったスケルトンメイジの4種類だった。
「総員迎撃!」
「ヒャッハァァァッ! タラタラしてたら狩っちまうぜぇぇぇっ!」
「急がないと舞に全部倒されちゃう」
『僕だって倒すもん!』
「もっと倒すわっ」
「狙い撃つです」
『(ー_ー)!!』
舞が駆け出していくのを見て、サクラ達も慌ててその後から攻撃する。
ゼルも自分で戦って経験値を稼がないと気分が良くないようで、負けじと<
サクサクと各種スケルトンが倒れていくと、その後から2つの頭に4本の腕全てに斧を握る大きいスケルトンが遅れて現れた。
ところが、それに気づいた舞がいち早くアダマントシールドを投げて対応する。
「カルシウム足りてんのかオラァ!」
『サクラがLv94になりました』
『リルがLv93になりました』
『ゲンがLv90になりました』
『ゴルゴンがLv88になりました』
『メロがLv82になりました』
『ゼルがLv48になりました』
『ゼルがLv49になりました』
舞の投げたアダマントシールドが命中した途端、一風変わったスケルトンが吹き飛んでバラバラになった。
実力差があり過ぎたようだ。
システムメッセージが届いた時、藍大はそれがいつもよりも虚しく聞こえた。
(今のが”掃除屋”? あっけなかったな・・・)
藍大がモンスター図鑑を視界に展開したところ、スケルトンダブルというLv65のモンスターだと発覚した。
骨はスケルトンよりも密度が僅かに高く、持っていた斧はスケルトンの剣よりも上等だった。
それでも舞の力の前に瞬殺されているのだから、その強さの幅も誤差の範囲なのだろう。
いや、シャングリラダンジョンを突破した藍大達が苦戦するようなモンスターが現れた方が問題かもしれない。
「ゼル、魔石はLv50になってからにしよう。新しいアビリティを覚える可能性が高いから」
『('◇')ゞ』
ゼルは藍大の言い分に納得して頷いた。
スケルトンダブルから戦利品を回収した後、藍大達はそのまま1体とも遭遇せずにボス部屋まで移動した。
ゴルゴンの爆破がスケルトンホイホイとなってしまったらしく、フロアボス以外全て倒してしまったのだ。
サクラが<
その手には血のような赤色のランスが握られていた。
(スケルトンジェネラルLv60。同じレベルでもシャングリラの
藍大がモンスター図鑑を視界に展開してみたところ、6階のフロアボスはスケルトンジェネラルだった。
そのレベルは60だったが、シャングリラ地下6階に現れた
この能力値ならばゼルだけで倒せると判断し、藍大はゼルに指示を出した。
「ゼル、スケルトンジェネラルは大きく分けて突撃か切り払いしかできない。動きを止めてからぶっ飛ばせ」
『︎︎(●ゝω・)ゞラジャ⌒☆』
藍大が指示を出してすぐにスケルトンジェネラルは早速ランスを構えて突撃を開始した。
「ゼル、壁を展開!」
『了━d(*´ェ`*)━解☆』
ゼルは<
それどころか、びくともしない壁にぶつかった反動でスケルトンジェネラルの体勢が崩れた。
スケルトンジェネラルのSTRではゼルのINTを上回れなかったから当然の結果である。
「今だ!」
『*。ヾ(。>v<。)ノ゙*。』
MPで構成された壁を即座に解除し、ゼルは<
一撃でスケルトンジェネラルの甲冑は大破した。
スケルトンジェネラルが手に持っていたランスはゼルの攻撃の衝撃で腕ごと後ろに吹っ飛んでいた。
「とどめだ」
『バイバイ(ヾ(´・ω・`)』
再度<
『ゼルがLv50になりました』
『ゼルが進化条件を満たしました』
(やはり来たか。待ってたぞ)
お望みのシステムメッセージが自分の耳に届いて藍大はニヤリと笑った。
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