俺は断じてシスコンじゃない~は?姉様に婚約者?~
桃月りぃべ
プロローグ:姉様の名前はエリアーヌ
エリアーヌ・ディアナ・アルカン。俺の姉様の名前だ。
歳は5つ離れていて、絹のようなつやつやとした銀髪に陶磁器のようなきめ細やかな白い肌。瞳にはアメジストよりも輝いた紫の宝石がある。一言でいえば美少女。モテすぎているのは家名のおかげだけではないだろう。けれど姉様は17歳、まだ結婚どころか婚約すら早いと俺は思っているけど貴族として生まれたからにはそうもいかなかった。
俺が物心ついたころにはほとんど王太子殿下との婚約が内定していた。
当時の俺は相当暴れた。5歳の俺は殿下に姉様を取られると思ってしまった。結局姉様が俺をなだめ言い聞かせることで落ち着いたがまだ納得していない。そして内定してるだけで正式に発表していないため時々届く釣書に俺は頭を悩ませていた。
父の書斎で次期侯爵として執務の補佐を行っているとまた婚約の釣書が目に入った。
「父上、そちらは?」
「ああ、これはバルバストル公爵家の嫡男ヴィクター殿だよ」
「……そうですか」
今までに姉様に届いた釣書はわけのわからない50歳のおっさんなんかを含めると70を超える。
「アンベール、そのシスコンはどうにかならないのか?」
「俺はシスコンではありません。姉様が心配なだけです」
「エリアーヌだけでなく自分の心配もしなさい」
父はため息をついた。
俺はまだ12歳だし、婚約者なんてあと3年は必要ない。というかまだ社交界にも出ていないのにどうしようもないではないか。
「エリアーヌは次の誕生日に王太子殿下と婚約が正式に発表される」
俺は思わず「なっ」という声が漏れてしまった。
「いいか、アンベール。これはエリアーヌが決めたんだ。エリアーヌ本人が殿下がいいと言ったんだぞ、わかるな?」
姉様が決めたのなら仕方がない。姉様が望んだ相手ならばいい。
幸せになれると姉様が判断したのだ。間違いなんてない。
そう、思っていた。
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