不平不満を陳べる者

勇者突撃型

1話

 今は春、近所の子供が入学やらなんやらで物凄く煩い。と言うのも住んでいるアパートが小学校から目と鼻の先と例えて間違いないくらい近い、更に校門の近くでもある。

 布団から起き上がり時計を見ると8:31であり大学には7:30に出なければ間に合わない。

 現状に落胆し、今日も大学に行かないと決めた。

 徒歩4分の微妙な位置にあるコンビニで朝食を済ませ、これまた微妙な位置にある月極駐車場の車に乗り込む。

 一息ついた所でバイト先の先輩に淡い期待を寄せながら電話する。

 「また大学サボってるのか!?」

 着信音が鳴り止んだ瞬間に叱責とも罵声とも取れる声が聞こえてくる。

 「いいじゃないですか先輩、それより手伝えることありませんか?」

 「俺の手伝いしても時給出るかどうかわからんぞ」

 さっきまでの迫力は無く呆れた声が返ってくる。

 「暇ですしいいですよ、それにお小遣いなんて言って給料分けてくれるじゃないですか」

 池田先輩が言葉を返す様にため息を吐く。

 「ついさっき連絡が来て、9時に家庭教師の依頼をしたいそうだ」

 「9時ですか」

 と言い目を車の時計に移す、そこには残酷にも8:43と映っていた。

 「って直ぐじゃないですか!間に合いますかね?」

 口頭で住所を読み、慌てて取り出したメモに書いていく。

 「寺田のアパートから近いし、寺田なら間に合うだろ?」

 その住所は確かに近く資料も車の中に放置してあるただ問題もある。

 「お相手さんの年齢は?中学生以外は面倒なので嫌ですよ」

 小学生は煩いし高校生は俺の解らない問題を教えなければいけない、つまり中学生が一番手間が掛からない、そのため中学生を担当したいし先輩にはその話しをしたため担当させてもらう事が多い。

 「14歳の中学生だそうだ、それ以外の資料を持ってないだろ?」

 「流石、池田先輩分かってますね」

 相槌のような冗談を、聞き池田先輩が再度わざとらしくため息を吐く。

 「依頼者方は遅れても構わないと言っていたが、時間どうりに行けよ?」

 先輩は俺に適度なプレッシャー与えつつ時間の融通が利く事を教えてくれた。

 「じゃ、切りますね」

 「もっと良い言い方があるだろ、失礼しますとかさ」

 「急いでるので切りますね」

 呆れを通り越した一途の願いは無情な一言で通話と共に終わる。

 そそくさと資料の入ったカバンを手に車から降り、早歩きで住宅街へと向かう。

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