第12話 シャラは地獄の門を史上初めて突破しました
「閻魔様。大変でございます」
鬼が閻魔のもとに注進に来た。
「どうしたのじゃ」
忙しそうに囚人たちの仕分けをしながら閻魔は聞いた。最近は争いが絶えず、地獄に送られてくる人間の数が増えており閻魔は忙しかったのだ。
「無限地獄の囚人たちが暴れております」
「直ちにその地区の鬼どもに制圧させればよかろう」
仕事をしながら閻魔は言った。そう言えば最近仕事にかまけて各地獄を視察していなかったことを思い出していた。
「それが既に無限地獄は叛徒共に占領されて、叛徒共は大焦熱地獄になだれ込みました」
「なんでそうなったのじゃ」
閻魔は驚いて言った。
無限地獄は最下層。一番警戒が厳重な地獄のはずだった。そこから1つ上の階層の大焦熱地獄になだれ込まれるなど今までになかったことだった。
その不審がる閻魔の前には暴れているシャラ達の姿が映った。
「これは無限地獄1万回の刑の受刑者ではないか。おい、しかし、その数が全然減っておらんぞ。いや、何故10万回に増えているのじゃ」
閻魔の目には見ただけで囚人の罰則が見えた。
「恐れながら、この者、地獄の役人達を次々に返り討ちに浴びせまして、未だ嘗て勝てた鬼どもがおりません」
「な。何じゃと。ならばいつものように減刑を目の前にぶら下げて強い囚人共を当てれば良いではないか」
「それが、その囚人共も尽く返り討ち、あるいは配下にして無限地獄をほとんど制圧していたようでございます」
「無限地獄の番人がおったであろうが。何故今まで報告が上がって来なかった」
「その番人チェレンチー自体が既に配下に下っていたようで」
「な、何じゃと」
閻魔は青くなった。こんな事が知られれば閻魔の首自体がやばかった。
「直ちに現場に全員を投入しろ。何としても大焦熱で食い止めるのじゃ」
「こちら焦熱地獄。門が破壊され大量の囚人が乱入しました。」
「な、何だと、大焦熱の火山で何故止められなかった。」
普通は火の山は熱くて渡れないはずだった。
「それがシャラとか申す囚人が氷の魔術で一閃凍らせたようでして」
「メーデーメーデー、こちら大叫喚地獄。大軍の攻撃を受けて苦戦中です。ギャーーーー」
通信が途絶えた。
「ええい、何をしておる。余自らが参る」
閻魔が宝剣を構えた。
「食らえ」
大音響とともに等活地獄との門が叩き折られていた。
そこには剣を構えた怒りで髪を逆立てたシャラがいた。
「待て、シャラ。これ以上行かすことはできん」
「閻魔。邪魔だていたすか。我が娘の一大事。例え閻魔でも邪魔立ていたすやつは許さん」
シャラは剣を構えた。
「食らえ、必殺ライトニングブラスター!」
シャラの剣から凄まじい光の奔流が閻魔らに襲いかかった。
「ふんっ、甘いわ」
閻魔は障壁でそれを防ぐ。
しかし、そこに同時に投げたシャラの魔力を込めた必殺の宝剣草薙の剣が飛んできた。宝剣は一瞬で閻魔の障壁を突き抜けて閻魔の身体に突き刺さった。
閻魔は驚愕の表情を浮かべた。
未だ嘗て閻魔に勝てた囚人など誰もいなかったのだ。
「貴様らそこをどけーーーー」
シャラが凄まじい衝撃波を叩きつけた。
その一瞬で閻魔らは地獄の門ともども弾き飛ばされた。
ここに史上初めて地獄の門が叩き破られたのだった。
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