第4話 シャラは愛するクローディアの事を祈りながら炎の業火に焼き尽くされました

「グォォォォォォォォ」

「グォォォォォォォォ」

ダレルの台地に北の蛮族ノルディン族の雄叫びが響いた。

凄まじい数の集団が峠を剣を抜いて下ってきた。


その蛮族の集団の駆ける先には一人の少女が立っていた。

金髪に青い目のほっそりした少女が蛮族共の向かう先にたった一人で立ちすくんでいるように見えた。



「コニー、クローディアのこと宜しくね」

独り言をシャラは呟いた。


夫のビリーもノルディンの奴らに殺されたと思われた。そして、今からシャラもその夫の元に行くのだ。唯一の心残りは愛娘のクローディアの事だったが、その娘の事はブリエント夫妻だけでなくて国王と皇太子夫妻も面倒見てくれると言ってくれた。王家に至っては王子との婚約まで整えてくれたのだ。



「クローディア。元気でね」

シャラは思いっきりクローディアを抱きしめた。

シャラの瞳から涙が次から次に流れた。


「シャラ、そろそろ時間よ」

コニーが横から二人の時間を切り上げさせた。


「コニー、クローディアをお願いね」

シャラはコニーにクローディアを渡した。


「神ゼウスよ。クローディアとコニーに祝福を。コニーの愛がクローディアに永遠に注がれますように」

シャラから光が溢れて二人を包んだ。


「シャラ」

「コニー。本当にあなたに我が愛しのクローディアを託すわ」

そう言うとシャラはクローディアにキスした。


そして、魔術師らに施術をされてシャラはノルディンの大軍の前に立たされたのだった。



シャラは最後に師のジャルカにクローディアの事を懇ろに託した遺書を人づてに託した。ジャルカが知れば絶対に許さなかっただろう。軽はずみなシャラの行動に対して怒り狂うのは目に見えていた。でも、ジャルカなら、シャラの遺言は守ってくれるはずだった。


「師匠。不肖の弟子をお許し下さい。そして、私の忘れ形見のクローディアのことをどうか宜しくお願い致します」

シャラは祈った。


ノルデインの大軍はシャラを見つけて剣を掲げて殺到してきた。


シャラの脳裏にはキャッキャッ笑っているクローディアの笑顔が映っていた。


「神ゼウスよ。この生命、ゼウスに捧げます。何卒、クローディアの永久の幸せを。それがもし破られし時はわれの地上への復活をお許し下さい」

シャラは必死に祈った。


「我がしもべよ。汝の願い確かに聞き入れよう」

どこからともなく、神の声が聞こえた。

気まぐれなゼウスは面白そうだとシャラの願いを聞き入れてくれたのだ。


シャラはそれを聞くと両手を上げた。


もう何も思い残すことはなかった。


自分は愛する娘のためにここで死ぬのだ。


「炎の雷よ大地を焼き尽くせ」

シャラは魔術の詠唱を唱えた。


シャラは瞬時に炎に包まれた。


そして、その炎は巨大な火の柱となり、それは一瞬で周りの全てのものを全て焼き尽くした。



ノルディンの大軍は成すすべもなく、一瞬で焼き尽くされていた。

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皆さん、このお話ここまで読んで頂いてありがとうございます。

次からはシャラの娘クローディア編です。

クローディアには1年下に妹が出来て結構大変です。

でもその中優しい皇太子だけが頼りでしたが・・・・

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