第2話 監視されたナカムラ
ナカムラは昨日までの体調不良が嘘のように回復してた.出社途中にコンビニエンスストアで公共料金,携帯電話の料金を払って愕然とした.携帯電話代がおおよそ4万円もしたからだ.d払いで何を買ったか逡巡する.そしてすぐに思い出した,推しの愛用してる指輪の内の1つを買ったんだった.しかもサイズ直ししないと人差し指に入らないと言う代物.別にサイズ直ししなくても良いのだが,「人差し指にアクセントつけたいな」そう心で呟いた.
駅についてIC乗車券の残額が少ないことを思い出したナカムラは,1万円分のチャージをして駅構内に入った.5時台と言うこともあり,ホームには誰もいない.
ホームにつくと直ぐに乗車する地下鉄がやってきたので,乗り込みいつもの座席に座る.
ナカムラは,座席に座るといつものようにスマホアプリで日経新聞を読む.「コロナ9波の可能性」と言う記事が目に飛び込んだ.5月上旬にコロナ報道を打ち切って,9波突入か?って言われても,「経済回すために色んな政府が緩和処置とったんだから騒ぐな」ってナカムラは心の中で毒づく.それに我々にはその感染者増を示すデータが示されてない.データが無ければ議論にすらならない.「チッ」と舌打ちをしてアプリを閉じた.
1時間近く電車に乗ってると,途中電車には色んな人が乗ってくる.サラリーマンはもちろんだが,朝は高校生も多い.高校生は電車に揺られながら教科書,テキスト,問題集のプリントなど読んでいる.ナカムラは,その高校生たちをよく観察すると,テキスト眺めてるだけの高校生が多いことに気づく.目線が動いてないのだ.周囲の人にも気を取られてる.電車の中で勉強しても,「能率悪いと思うよ」とまた心の中で毒づく.
出勤して,ナカムラはデスクを探した.執務室には自分の机はない.フリーアドレスで好きな場所で仕事をしていい職場である.指差しルーレットで今日の執務机を決めた.そして上司であるミナミダに先日の休みの謝罪に行った.
仕事開始の朝礼後,ナカムラはミナミダに呼ばれて別室へ通された.ナカムラは別室に通された瞬間嫌な予感がしたがそれは的中した.色々小言を言われたが,「表情が固い」とか「声が通るからもっと職場の空気読め」とかどうしようもないことで叱られた.ナカムラは憂鬱な気分になった.こう言うふうに叱られるとどう言うふうに職場の人とコミュニケーション取れば良いのか分からなくなる.まぁ嫌われている事は,このミナミダの小言で認識した.この職場に来てナカムラは色々思うところがある.些細なミスも大ごとの様に捉え,叱る傾向にある.むしろ些細なミスが出る様な作業をさせている方が悪いとナカムラは感じてる.正しい教育をせず,放置プレイで勝手に人が育つとでも思ってるのか?まぁそれなら仕方ないけど.
仕事量は,日程が立て込んでるだけに非常に多かった.神経使う作業で昼前にはエネルギー切れ寸前になった.疲れ果ててた為,昼ごはんを食べず,お菓子を食べてエネルギーチャージをした.
昼以降も忙しかった.作業中,ナカムラは突然ミナミダから呼び出しを受けた.ミナミダのもとに向かうと,「昼休憩されましたか」と問われた.ナカムラは,昼休憩を惜しんでまで働くことを嫌う性格なので「休憩しました」と答えた.するとミナミダは「弁当注文したのに食べてないよね?」と問い詰めてきた.ナカムラは「誰だよチクったのは」と思いつつ,「休憩はキチンととってます」と答えた.まぁ小言を言われたが,そのあとはちょっとした雑談をし,その場を後にした.行動の全てを監視されるなとナカムラは感じ,少し憂鬱な気分になった.
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