頼むから僕にパンツを見せてくれ!

水無月ナツキ

パンツ、パンツ&パンツ

序章

幸運と悲劇

 誰もが認める悲劇というものは宝くじに似ている。


 とある某でっかい宝くじで一等が当たる確率は一千分の一だという。これは人間が雷に打たれる確率と同じだ。


 また東京ドームに宝くじを敷き詰めると、東京ドーム二個分と四分の一に達してようやく一等が当たるだとか。


 長さが一ロール六十メートルであるシングルのトイレットペーパーを、一枚の横幅が十五センチの宝くじに変えれば、五百年間毎日お尻を拭き続けてやっと一等が当たるだとか。


 とにかく宝くじで一等を当てる確率は低いのだ。


 誰もが認める悲劇に見舞われるということも、宝くじで一等が当たる確率のようにそう滅多にあることじゃない。

 誰しも悲劇が自分自身に起こるなんてほとんど考えもしない。ありえないとさえ思う人間もいるだろう。


 悲劇に見舞われて、ようやくそれが楽観的な考えだったと気がつくのだ。

 今まで悲劇に見舞われなかったのは、ただ単純に運が良かっただけなんだと。


 例に漏れず僕も自分が悲劇に見舞われることなんて予想もしていなかった。平々凡々に日々を過ごしていくのだと、疑いもしていなかった。


 だから僕は【それ】を手にとってしまったのだろう。

 悲劇がやってくることはないと、高を括っていたから、考えもせず不用意に禁忌に触れてしまったのだ。


 本当、あの時の自分をぶん殴ってやりたい。

 その不用意な行動が悲劇へと繋がる。


 端的に言おう。僕は呪われた。【パンツの呪い】にかかってしまったのだ。




 これは、そんな僕の物語。

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