想い巡らす後悔者《リグレッタ》
りぐくん
第一章 プロローグ
第1話 噂の13階段
「ねぇコトハ、この学校の都市伝説知ってる?」
「都市伝説?」
私の名前は
「そうそう、うちの学校って旧校舎があるでしょ?旧校舎の三階へ続く階段は12段らしいんだけど、放課後にその階段は13段になってるんだって。」
この子の名前は新藤マリ、私の幼馴染でオカルトが大好き。
「13段…意味でもあるのかな?」
私は、幽霊とか都市伝説はあまり信じていないけれど、あえてそれを言う理由もないので、とりあえず言葉を返しておく。
「13段は死刑で首を吊るときに上る階段の段数に等しくて、放課後の13階段を踏むと…」
「踏むと…?」
「冥界に連れていかれるんだって!」
「ふ~ん」
全く興味がない、というと正直嘘であるが、微粒子ほどの現実味もなくてどこにでもありそうな話である。
「マリは行ったことあるの?」
「ないに決まってるじゃん、怖いもん。」
え、オカルト好きで怖いの無理なの?と言いたくなるのをこらえながら私は苦笑する。
「コトハ、行ってみたら?」
オカルト好きが行け!と言いたくなってしまったのはここだけの話。
「えぇ、私はそういうの…」
________そして放課後
結局、私は旧校舎まで来てしまった。もしかしたら私もなかなかのモノ好きなのかも???
(ここが例の階段?)
てっきり禍々しい雰囲気を醸し出しているのかなと思ってたけれど、旧校舎とは思えないくらいきれいで、夕焼けに照らされた木材の階段だった。一応都市伝説を調べるということで、(都市伝説を信じてはいないにしても)多少の緊張感をもってきてたんだけど、そんな必要なかったかな?いつしか私の緊張感は緩んで、楽観的な気持ちへと変わっていた。しかし、この気持ちは何だろう。奥まで光の届いていないその階段を見ていると、意識が吸い込まれていくような感覚に陥った。私は頭を振って、意識を無理やり集中させ、階段を上り始めた。
1 2 3
茜色が射す階段を一歩一歩踏みしめて
4 5 6
薄暗い階段をおろそかに
7 8 9
もう光の届かない階段を無意識に
10 11 12
ひたすら常闇を進むのみ
たった12歩の動作が私にとっては千里にも万里にも感じられた。
そして、12段を上って気が付いた。
________まだもう一段ある。
足の先っぽが、13段目と思われる階段の段差に当たっているのが感じられた。ここで私の意識はハッとする。
(どうしよう、これ、上っても大丈夫かな?)
私は12段目で長考した後、下ることを決め、後ろを向いた。
と、その時
私の目の前に、糸を伝って蜘蛛が下りてきた。虫が苦手な私は、
「#$%&&%#$&%&#$&」
と、声にならない声を発し、体を後ろに仰け反らせてこけてしまった。
「..............いててて」
幸い手を着いていたため、階段から転げ落ちるということはなか_____
ん?手?
私は恐る恐る自分の着いた手を見た。
「ッッッッッッッッ!」
着いている、決して触れてはならない13段目に。
(やばいやばいやばい..............私死ぬんだ。でも大丈夫よ!都市伝説なんてただの迷信じゃないの!それに、私は手を触れさせただけ、上ったわけじゃないわ!)
なるべく都合の良い言い訳を自分に言い聞かせ、落ち着こうとするが、むしろ不安が積もっていく。
そして..............
《こっちにおいで》
どこから聞こえたかもわからないその声が聞こえるとともに、私の意識はゆっくり落ちていった。
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