17 dream
protagonist:
地下鉄の列車のルートを走りながら、それぞれの班が地下通路へと分かれていきながら霞ヶ関駅を超えて、やがて僕らは駅をもうひとつ通過する。その駅名を見て、僕はつぶやく。
主人公「虎ノ門?」
栗原さんがそれに気づいたのか、
栗原「ここに、虎ノ門ヒルズに入るための裏口がある。その中枢にある事務所が俺たちの目的地だ」
ふと、隣を走る真依先輩に訊ねる。
主人公「こんなところにも暴力団の事務所があるの?」
真依先輩も首を傾げていた。そして衛理を見ても、同じく首を傾げていた。
その駅を通りすぎるのではなく、急に暗い道へと入っていく。僕らもそれについていく。そしてそこでは、斥候の人たちが銃を構えてその扉に向き合っていた。そこへ栗原さんの後ろをついてきていたほかの警察も周りを囲み始める。栗原さんが言った。
栗原「お前らはお客さんだ、荒事は俺たちに任せとけ」
僕らは頷き、後ろへと下がっていく。栗原さんがどこかと通信を始める。
栗原「こっちは到着した、空挺班は退路を塞げ、地上班は電波妨害を行いつつ避難誘導を優先しろ」
しばらくしたあと栗原さんは周囲に告げた。
栗原「あと三十秒後に突入する!」
警察の人たちが扉に手際よく爆弾を仕掛けていく。準備が完了し、全員が扉から離れ、その扉へと銃を向けていた。
爆弾が起爆され、扉が破壊される。それらを警察の人たちが剥がし、そして侵入を開始したと同時に銃撃の音が響き渡る。そして、栗原さんが叫んだ。
栗原「いまだ行け!走れ!」
そのとき衛理が僕へ言った。
衛理「あんたは私と真依の後ろに!」
僕は頷き、彼女たちについていく。
ビルの中に入ると、警報と共に警察の音声が流れている。
『こちらは警視庁です。対テロ特別作戦を遂行中です。居室から出ないでください』
離散的に銃撃が続くが、その中で誰もが怯え、うずくまっている。僕は歯を噛み締める。衛理が言った。
衛理「あんたはあんたの任務を果たして!早く終わらせましょ!」
僕は頷き、彼女たちに守られながら走る。
到着したのは、地上階における電源施設。その中ですでに警察が複数人いて、僕に教えてくれる。
警官「ここ全体の回線はすべて一度外した。携帯回線電波も妨害をしている。頭に入っているだろうがこれがドキュメントだ」
僕はその警察の人から手渡されたドキュメントを再度確認する。そして、小さなコンピュータ、Raspberry Piを起動してそれと該当居室の光線を無理やり繋いでいく。そして僕は警察の人に言った。
主人公「これで完了です」
警察の人は頷き、栗原さんに連絡する。
警官「夢想装置(Dream Machine)設置完了。繰り返す、夢想装置(Dream Machine)設置完了」
僕はMacbookとRaspberry Piを繋いでいるとき、真依先輩が訊ねてくる。
真依先輩「これは?」
僕はターミナルエミュレータを起動しながら答える。
主人公「保険だよ。敵のコンピュータに見せる、インターネットの夢想装置(Dream Machine)。敵は今ネットに繋ごうと必死だから、そこに
真依先輩「具体的には?」
主人公「送金関係の妨害だ、ほら……」
僕は端末にコマンドを打って、文字列を見せる。
主人公「このHTTP通信は暗号通貨送金用と取引所にアクセスしようとしているものだ。いま敵は栗原さんの襲撃に怯えながら必死にアプリをぽちぽちしてる。うまくいくかどうかもわからない最後の希望が、この虚無のコンピュータにあるともがいている」
真依先輩「なるほど、今回敵の協力者に後輩くんを送り込まなかったのはそういうことだったのね」
衛理が告げる。
衛理「ご高説どうも、ナードくん。私たちの任務はこれで終わりね」
そう言われると、僕はほっと息を吐いた。
主人公「ああ」
電源室の周期的な音の響きの中で僕らが静かに待っていると、無線から音声が入る。
栗原さんから連絡が入る。
栗原「制圧終了。各班、避難誘導に切り替えろ」
衛理「合図が来た、いくよ」
僕は頷き、装置を片付け、警察と二人についていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます