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7:00

「ちゃんとお見送り出来なくてすみません。」


俺はアコさんに謝りながらホテルの玄関でそのまま別れ、学校に向かう。


2人してアラームに気づかずに20分近く寝過ごし、店長からの電話で起きた。


あんなに慌ただしい朝嫌だっただろうな。

今度また呼んでくれるならしっかりお詫びしよう。


俺は急いで学校に走り、ギリギリで教室の前に着くと栄美先生がまたいた。


栄美「今日もぎりぎりだな。」


夏「…すみません。」


栄美「シャワーに入るなとは言わないが、走るより歩いた方が汗かかないぞ。」


俺の風呂上がりの匂いが鼻に来たのか栄美先生はそう言って、また汗拭きシートを1枚くれた。


夏「ありがとうございます。」


俺は栄美先生と一緒に教室に入り、席に着く。


沙樹「おはよう。」


隣にいる沙樹がいつものように笑顔で挨拶をしてくれる中、俺は湿気と汗でベタついた体を拭く。


夏「おはよう。今日って座学だけだよね?」


沙樹「そう。なんか忘れた?」


夏「…ノート。」


沙樹「と、ペン?」


夏「はい…。」


沙樹は自分の机に置いてあったルーズリーフ3枚とボールペンを笑顔のまま貸してくれる。


夏「ありがとう。」


沙樹「いつでも言って。」


沙樹は本当に優しいな。

何度も忘れてきたのを責めずに察して貸してくれる。

その優しさが申し訳なくなる。


今日から半日授業だから仕事に専念出来るけど、こうやって授業の道具を忘れてしまうのは学生として過ごせてない証拠。


…ちゃんとしないとな。


そう思ってるとあっという間にHRが終わって栄美先生が職員室に戻り、みんなが1時限目の授業の準備を始める。


「2人とも、夏休みの予定は?」


と、愛海が俺たちの前の席を借りて話しかけてきた。


沙樹「俺は就職活動とバイト。」


夏「仕事。」


愛海「…嘘だろ!学生最後の夏休みだぞ。一緒に海行こう!」


…海か。

行きたいけど、空いてる日あんまりないんだよな…。


沙樹「1日くらいなら空けられるけど、夏はどう?」


俺が頭に入っているスケジュール帳を開いていると、沙樹が聞いてきた。


夏「うーん…。」


愛海「息抜き大事だぞ。日帰りできる距離だから行こう!波乗りしよう!」


サーフィンか。

1回もやったことないんだよな。


愛海が先生なら楽しそうだし、経験してみたいって思ってたんだよな。


夏「分かった。」


愛海「OK!じゃあ、また後で日程は決めよう。」


愛海は授業時間を気にして席に戻ると、ちょうど1時限目の海坂かいざか先生が教室に入ってきた。


沙樹「海阪先生って彼氏いると思う?」


夏「どうだろ。でも身綺麗な人はいるイメージだね。」


沙樹「だよなー。仕事も出来てスタイル良くて美人さんって無敵すぎる。」


夏「ほの字?」


沙樹「憧れかな。僕のアイドル。」


沙樹は恥ずかしげもなく、海坂先生への好意を語る。


俺はそういう人がいたことないから分からないけど、恋とは別らしい。

いろんな人に関わるほどいろんな好きがあって俺の中でごちゃ混ぜになって良く分からなくなってしまう。


こんな俺にもまた好きと思える人が現れるのかなと思いながら、座学を受けた。




→ 大切な君へ

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