第70話 レオンの婚約者
オズワルド様が出掛けられ、私はフェリシア様とお茶をすることになった。
急なお茶にもフェリシア様は嫌な顔せず、私とお茶をしてくれた。
品よくおしとやかにお茶を飲むフェリシア様は将来の王妃様にピッタリだと思う。
フェリシア様の結婚式の話やアレク様やオズワルド様の話をして楽しい時間だったが、そこにフェリシア様の侍女が来た。
「フェリシア様、またエルサ様がいらしてます」
「そう、お通ししてくれるかしら」
フェリシア様はあまり歓迎していないようでため息まじりに言った。
どうやら、フェリシア様とアレク様の結婚式が近いから波風立てたくないようだ。
「ごめんなさいね。リディア」
「いえ、私は大丈夫です」
そして、エルサ様がやってきた。
エルサ様は私を見るなり眉がピクピクッと動いた。
「…あなたは確かオズワルド様の婚約者ですね。オズワルド様も来ていらっしゃるの」
「はい、オズワルド様は、今はご用がありまして」
何でオズワルド様を気にするのよ。
まさかこいつもオズワルド様にラブレターを出していたんじゃないでしょうね。
「ふーん、まあいいわ」
いいなら聞くな。
エルサ様の噂も聞いたことがある。
自慢が好きで、何と言うか自分が一番じゃないといけないタイプだ。
レオン様も何でこんなのを選んだのか。
そして、フェリシア様の前で笑顔を崩せず、膝の上で拳を握ってしまった。
エルサ様は当たり前のように、椅子に座っていた。
「エルサ様、何度も言うようですがあのホールは王族専用です。エルサ様の夜会の為には使えません。それに今は改修工事中です。私から口添えすることはできませんわ」
王族専用のホールはレオン様の誕生日パーティーが行われたところよね。
婚約者になったとたんに使いたいなんて図々しいわ。
しかも、フェリシア様に口添えをお願いするなんてアレク様にお願いするのと一緒ね。
レオン様は何をやっているのかしら。
押し切られて、放置している気がするわ。
「エルサ様、この話はもう終わりにして下さいね。夜会は別のホールにして下さい」
エルサ様は納得のいかないような顔だった。
「…あなたはオズワルド様とご結婚なさるの?」
いきなり話を変えて振らないで欲しい。
少しビックリしましたよ。
大体、結婚するから婚約してますからね。
「ええ、ドレスももう仕上がりますから」
「…オズワルド様はどこが良かったのかしら?」
「わかりませんわ、オズ様に一目惚れされましたから」
ふっ、負けませんからね!
レオン様の時は不思議と戦おうとしなかったが、何だかオズワルド様の時は負けたくなくなる。
私は、私達は親しい間柄とアピールするようにオズ様と言った。
エルサ様はムッとしていた。
「私の結婚式は盛大にいたしますわ。ドレスも特注で作らせますわ。王族ですからね。ぜひきてくださいな」
「はい、ぜひ参加いたしますわ」
ブラッドフォード公爵だから王族の式には出ないといけない。
でも、フェリシア様とアレク様の結婚式が先ですよ。
そして、この場にレオン様がやってきた。
どうやら、エルサ様を止めにきたようだった。
来るなり私を見たが、何も言わず、表情が固いままでフェリシア様に頭を下げた。
「フェリシア様、エルサが失礼しました。さあエルサ、帰るぞ」
意外としっかりしているように見えました。
心境の変化でもあったのかしら。
「そうね。レオン様が私の為に迎えに来て下さいましたからね」
エルサ様が立ち上がり、私も椅子から立ち見送ろうとすると、エルサ様はレオン様に腕を絡めた。
まあ、意外と仲良しね。と微笑ましく見ると、レオン様がエルサ様の腕を払いのけたのだ。
あら、レオン様。それは不味いのでは?
エルサ様は怒っているような顔になった。
そして、何故私を見る!?
「レオン様、何をなさるのです」
「急に来たから驚いただけだ!行くぞ!」
レオン様はプイッと早足で行かれた。
そして、エルサ様は私とフェリシア様を睨んだ。
残った私達は呆然と二人が過ぎ去るのを見ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます