第67話 調書は終わり
「ヒース、今回の件はノートン親子が勝手に勘違いをして暴走した結果だ。俺達に咎はないぞ」
「そうだな…呪いに関しても娘は素人だったみたいで、呪い返しの痕かどうかも判断出来なかったみたいだな」
オズワルド様は色々悪巧みをしていたことは言わなかったが、嘘も言ってない。
オズワルド様の手のひらでノートン親子は踊らされたのだ。
しかも、華麗に踊りすぎだわ。
転がり落ちるように踊ったわ。
オズワルド様の手のひらで踊ってないでダンスの練習でもすればいいのに。
アリシアは下手だったわ。レオン様の足を何度か踏んでましたからね。
「リディアさんを呪おうとしたのも腹いせのようだったみたいだ。娘がオズを呪おうとしたとされてはさすがにマズイと思ったのかあっさり白状した」
いや、私を呪おうとしたことも、マズイですけどね。
ヒース様は、調書を書くのを止め、世間話のようにオズワルド様に話した。
さすがにもう睨んでない。
「リディアでも同じ事だ。俺の大事な女に手を出したのだ。罰は受けてもらう」
「ノートンは爵位剥奪で、勘違いとはいえ虚言になるだろうな。公爵に不敬を働き、魔法騎士団に訴えたのだからな。皆が見ていたから言い逃れは出来ん。娘は不当な呪いの行使で刑務所行きだ。殺人未遂の疑いもかかっている」
ヒース様は調書の為に録っていたファイルを閉じ、今日はこれで終わりだ、と言った。
「オズ、今夜はアレク様の宮に泊まるのか?」
「ああ、いつもの部屋に泊まる。ヒースもだろ」
「休暇で帰れなくなったからな!」
ヒース様、トゲがありますよ。
「オズワルド様、いつもの部屋は以前と同じ部屋ですか?」
「夜会に泊まらせてもらった部屋はゲストルームだ。今夜は以前から俺が使わせてもらっている部屋に泊まる」
どうやら、アレク様の宮にはオズワルド様とヒース様の部屋がそれぞれあるらしい。
「オズ、ゲストルームの方が広いだろう。アレク様に言えば使わせてもらえるぞ」
「ゲストルームはベッドが二つあるからダメだ」
ヒース様は、そうだな、というように納得した。
「ベッドが二つでもいいですよ!わ、私達まだそんな関係じゃっ…!」
「は?…オズがまだなのか?」
ヒース様は、今日一番驚いた顔になった。
ヒース様!なんてことを!
「リディアに合わせて、結婚までは待ってるんだ」
「それは…まぁ、いいことだな」
恥ずかしすぎる。
「オ、オズワルド様。もう行きましょう。私はこういう会話は無理です。ふ、二人のことは秘密にして下さい」
「秘密か…。いいな」
フッと微笑んだオズワルド様は、ヒース様にまたな。と言って私の肩を抱き寄せ部屋に連れて行ってくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます