第60話 お預けか!?

「オ、オズワルド様っ、ちょっと待って下さいっ!」

「嫌だね」

「…っ、待っ、待って下さいっ…!」


待って下さいというが、リディアは逃げないと思った。

それに、最後まではまだするつもりはないが、もう少し触れていたい。


そう思い、そのままベッドに押し倒しリディアの顎から首筋を伝うようにキスをしていると、急に大きな音がした。


パキーンッ!!と。


あのガラスのキャンディポットの中から音がしたのだ。


「…オズワルド様…」

「キャンディポットの魔水晶が割れたな。…アリシアが呪いを使ったのだろう」


リディアを押し倒したまま二人とも固まり、俺もリディアも音のしたキャンディポットを見つめていた。


そして俺は思う。


何故、今、このタイミングで使うんだ!

いい雰囲気だったのだぞ!

俺は火がついていたんだ!

あと一分、いや、あと数十秒で胸に手が届いていたんだ!

まだ、触ってないんだぞ!

どんな嫌がらせだ!

ここまできてお預けか!?

どこまで邪魔をする気なんだ!

もっと他のことに人生を使えんのか!


「あの…オズワルド様?起きて下さい…」

「…起きたくない。…怒りたくなってきた」


続きがしたい。

続きがしたいけど…無理な気がする。

今度こそ、本気で抵抗されそうだ。


ベッドにうつぶせのまま頭を冷やすかと思うと、リディアの手が俺の顔に伸びてそのままキスをしてきた。


「こ、これで我慢して下さい。その、怒らないで下さいね…」


別に、リディアに怒っているわけではないが。


リディアからキスしてきたということは今までない。

リディアにとったらこれが精一杯なのだろう。

そして、その顔は誰にも見せたことのない恥じらいの顔なのだろう。


「もう一回してくれ」

「…特別ですからね」


そして、リディアはもう一度してくれた。







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