第40話 花言葉

「植物の本?」

「はい、どちらにありますか?花言葉も知りたいのですが」


オズワルド様は、何が知りたいんだ、と聞いてきた為、時間が戻る前の控室にアニスから貰った2つの花の話をした。


「黒百合の花言葉は…呪いか何かじゃなかったか」


不吉な花言葉ね。

何でそんなものを私に…。

まさか、アニスも呪いたかったのかしら…。

私って嫌われていたのね、と虚しい気持ちが出てきた。


「もう1つの花は何だ?どんな花だった?」

「もう1つは黄色い5弁の花だった気がするのですが…」


植物図鑑をオズワルド様が出してくれ、ページをめくり挿し絵を一生懸命見た。

そして、一時間位経った頃だろうか、似た挿し絵を見つけた。


オレアンダーだ。

そうだ、このオレアンダーの花が一輪と黒百合が一輪とでリボンで結んであった。


「オズワルド様、見つけました。オレアンダーです。思い出しましたよ」

「オレアンダー?どんな花だ?」


そう言うと、オズワルド様は窓際の机で本を開き立っている私の元に来た。

そして、後ろから私を覆うように両手を机についた。

私はオズワルド様にすっぽりはまったような体勢になった。


ドキドキするが、とりあえず本を見せなければ、と思い何とか気持ちを落ち着かせた。


そして、オズワルド様にも、花の挿し絵を見せ、花言葉を聞くが、オレアンダーの花言葉は知らないそうだ。

よく読むと、ページの下の方に花言葉が書いてあった。


オレアンダーの花言葉は、危険や警告。

黒百合は呪い。


どういうことだろうか、アニスは私に呪いで危険だと警告したのか、と思った。


「…アニスという娘は、呪いがかけられていることを知っていたのではないか?もう確認する術はないが、直接リディアに言えなかったと言うことは、アリシアに脅されでもしたのか、そんなところだろう」

「…でも、遅過ぎましたね…」


本当に遅過ぎた。

今さら、花の意味に気づいてもどうにもならない。


オズワルド様に覆われた体勢のまま、ただ、心にぽっかりと穴が空いたような気持ちになっていた。





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