第41話 レオン 1(時間が戻った後とその先月の様子)

オズワルドの邸に行く先月、宮中の夜会で兄上と一緒にいた。

やはり皆から兄上は好かれており、皆が褒めていた。


「レオンハルト様もアレクセイ様に似てご立派になられますね」


と、褒めているつもりなのか、私からしたら、まだまだ、だと言われている気分になった。

兄上には媚びているように見えるが、私はきっとおまけぐらいなのだろう。

いたたまれなくなり、そっと壁側に離れると近くに、赤髪の娘がいた。

確かさっき、挨拶に来た娘だと思った。

挨拶に来て、兄上の周りにいるのかと思いきや、2、3話すと去って行った娘だった。

無礼な感じはないが兄上に媚びてなかったなと思っていた。

つい話をしてみようと、声をかけた。


「失礼、先程挨拶に来られましたね」


彼女は、穏やかな笑顔で挨拶をしてくれ、リディア・ウォードと名乗った。

可愛いらしいとも思ったが、穏やかな媚びない笑顔に綺麗だと好感を持った。


「リディアと呼んでいいですか?私のこともレオンと呼んで下さい」

「レオン様ですか…」


リディアは、こんな壁に王子がいることを何も聞かず、穏やかな笑顔で話を聞いていた。

何となく、話しやすくほんの少ししか話してないのに、つい兄上の話をしてしまった。


兄上の周りに行かないのか、と聞くと、挨拶は済ませましたから。と言った。


「兄上と比べられたくないから、しばらく一緒にいていいでしょうか?」


思わず、本音を少し言うと、リディア孃は友人が来るまででしたらと、穏やかな笑顔で言った。


「それに、アレクセイ様はご立派で良いところが沢山ありますけど、レオンハルト様にはレオンハルト様の良いところがありますよ。お優しい方と聞いてます。比べる必要はありませんよ」


私にも兄上にも媚びない穏やかな笑顔に好感を持った。

そして、友人が来た為、その言葉を残し去って行った。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る