第35話 首筋に当たってますが!
夕食の晩餐後、今日もオズワルド様達は飲んでいた。
私は先に部屋に戻り、ドレスを脱いでいた。
「そんなことがあったの。だから頬が赤いのね。でも、怒ってくれてありがとう」
「リディア様を侮辱するなんて許せませんからね」
マリオンはいつも私の味方だ。
それにしてもメイドか…。
「まさか、オズワルド様はメイドに手を出してなかったわよね」
「夢見てるって感じでしたから、お手つきにはなってないと思いますよ。もし、メイド達がお手つきになってたら、もっと偉そうになってたと思いますから」
きっと、オズワルド様は分別はあるのよね。と自分を納得させた。
「マリオン、今日はもういいわよ。準備だけしてくれたら後は一人で湯浴みするから。頬が痛いでしょ。ゆっくり休んでね」
「ありがとうございます」
マリオンを下がらせ一人でゆっくり湯浴みをしていた。
しかし、先月(私からしたら7ヶ月前のこと)の夜会のことをレオン様が話し出した時はビックリした。
オズワルド様と時間が戻ったのは、半年前のシェリー様のお茶会で、そのお茶会の1ヶ月前の夜会の時のことを覚えていたとは。
あの時から、レオンと呼んで下さいと言われていた。
ほんの少ししか話さなかったはずなのに。
私がレオン様と呼んでいたから、私もいい思い出となっていると思われたのだろうか。
しかも、戻ったのが、半年前だから先月のことはなかったことには出来ない。
はぁ、ややこしいわ。
湯浴みから出て、バスローブに身を包み、タオルで頭を拭きながら、浴室から部屋に行くと、オズワルド様が私の部屋の椅子に座っていた。
どうしているのよ!
脱力しそうだった。
「オズワルド様…ここは私の部屋ですよ!」
「知っているぞ。湯浴みしていたから待ってた」
「出てって下さいよ!着替えが出来ませんよ!」
私はバスローブ一枚ですよ!
「そのまま来ればいいじゃないか」
「絶対嫌ですね!」
腕を組み、プイッと後ろを向くとオズワルド様が後ろから抱き締めてきた。
思わず、ドキッとしてしまう。
「俺がいいと言ってくれただろう。お慕いしていると…心を開いてくれたんじゃないのか」
「そ、そうですけどっ!」
首筋!
首筋に唇が当たってます!
「こ、心は多少開いてますけど!」
一人焦り、背中から抱き締めてくるオズワルド様に心臓が破裂しそうだった。
首筋や顔に何度も優しく伝うようなキスをしてくるオズワルド様を見ることが出来ず、目を瞑ったまま必死でバスローブの胸元を握りしめていた。
「リディア…早く来い。部屋で待っているから」
耳元で優しく囁くように言われ、そして、するりとオズワルド様が離れ、振り向くとオズワルド様が肩に手を乗せまた頬にキスをしてきた。
その顔は男なのにどこか色っぽい。
これが、艶顔とでもいうのか。
どうしていいかわからず、ずっと顔を赤くして照れてしまっていた。
「…着替えたら行きます…」
「待ってる…」
そうして、艶顔の微笑でオズワルド様は部屋に行ってしまった。
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