白桜

重ねている憧憬と色あせた風景とを

見比べればなお焦燥     

ただ死するための詩とともに          

泣き顔を隠し続ける   


幸福たる未練には生き場のない愛憎を

傲慢たる拒絶には行き場のない空想を     

生にしがみつくも見つけるは人の骸        

死にしがみつくも最後は果てのない生が

舞い降りる


茜色に染まる空が落ちれば            

闇が昇りゆく                  


愛を知らぬ言葉を紡ぎ出し 

私はただ夜に咲く花を眺める           

祈りは消えあるのは妄執             

忘れたくないだけなの              

盲目たる所以に声を綴り出した


彩られた後悔に石礫を積み上げた

失えばなお畜生

あるがままの姿に戻れない私を          

ただ憐み続ける君の像


唯一無二の存在はありふれている

純真無垢を見ては泣き出した

手にはないもの

修羅の痛みさえ今は愛しく


幸福たるゆえに解を求め出した

傲慢たるゆえに戒を食らい尽くした

生死の境界も曖昧として

ただそこにあり続けている


影を落とした愛を拾い上げて

私はただ夜に咲く花を眺めた

祈りは消えあるのは妄執

忘れることはないはずなの

盲目たる愛に哀を綴り出した

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