第7話 世界が重なり合った事故。
「事故ですね」
え?
「呪いではありません。どうやら事故が起きたようです」
「どういう事ですの?」
「あまたの次元、あまたの空間がこの世には重なるように存在しています。今私たちがいるこの世界からほんの少し座標がずれたところにも、別の世界があるのですよ」
大聖女様のお部屋でお茶を飲みながら。
あたしはお母様に抱かれたままソファーの上だ。
って、ソファーに腰掛けてるのはお母様。あたしはそのお膝の上、かな。
ってこの大聖女様、ご高齢だって話だったのにずいぶん若く見えるよ。
お母様より若く見える?
どう言う事? 別人なの?
専門的な話に嫌気がさしたのか、お母様。
「異世界がどうこうって話ですわね? そういう学術的なお話は要らないですから、結論からお願い致しますわ」
と、そう話を促した。
「実は先日、千年に一度の会がありました。三千世界が一つに重なり合う、グランドオーバーラップシェアリング。ふつうにこの世界に生きている人間には感知し得ない現象ですが、まれにその干渉を受けてしまう者も存在するのです」
「それがマリアンヌだと言うのですか!?」
「そうですね。マリアンヌ様は聖女の素質がおありになりました。彼女のその聖女の力が、別世界の半身を呼び寄せて融合してしまったのでしょう」
「猫が、半身だと言うのですか!?」
「それだけではありません、けどね」
大聖女様。手にしたカップを口につけ、喉を潤すと。
「おそらくですが、マリアンヌ様の
「それは……、治るのでしょうか……?」
「重なったレイヤーを解除すればなんとか……。ただし、素のマリアンヌ様に完全に戻るかは、今の状態では測りかねますけれど……」
「ああ。それでも少しでも戻る可能性があるのであれば……。お願いよレティーナ。貴女のチカラでマリアンヌをどうか……」
「わかりました……」
レティーナと呼ばれた彼女。大聖女様? の彼女はそう囁くように声を出すと、そっと立ち上がってあたしの頭に手を伸ばした。
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