05 妹?
唐突に現れたユフィ。
「どうしたの? お姉様、私の事忘れちゃったの?」
私はどう見ても妹にそっくりな少女を、妹その人だとは思えなかった。
「貴方、誰! ユフィじゃない。ユフィは私の事をお姉様、なんて言わない」
するとユフィは小首をかしげて、隣に立つ師匠に尋ねた。
「あら、そうなの?」
「ええ、ユフィお嬢様は昔からフィアお嬢様の事をお姉ちゃんと呼んでいました」
「そうなの。だったら次から改めるわね。お姉ちゃん?」
ユフィはそんな風じゃない。
うまく言えないけれど、私の妹はそんな風じゃないのだ。
もっと自信なさげで、あまったれで、人を傷つけたら自分も泣きそうになるような子だ。
「師匠、どうしたんですか。ユフィは、私の妹は死んだんです!」
「何を言っているんですか。フィアお嬢様、ユフィお嬢様は、行方不明だったではありませんか?」
「えっ」
私は「だって」と続ける。
「ユフィのお墓も作ったのに」
師匠が何を言っているのか分からなくて混乱していると、ユフィの偽物はにやりと笑った。
「お姉ちゃん? ひどいよ。私が生きてるって信じてくれなかったの?」
ユフィは私の目の前で死んだわけではない。
その最後を見たわけではなかった。
なら、
もしかして、
誰かが嘘をついていた?
一瞬だけそんな都合の良い想像が頭の中をめぐった。
「私は死ななかった。生きてここにいる。お姉ちゃんだって。信じたいよね? なら、それでいいじゃない?」
ユフィが生きている。
それなら、それでいいのかな?
そう思い込みそうになったけれど、その瞬間ペンダントが強く光った。
それは、文通友達であるシフォンちゃんが、私にくれたものだった。
後がくわえた小さい筒の中に入っていた、小さな宝石のペンダント。
すると、ぼんやりしていた頭が急にはっきりしてきた。
ユフィはその光を見て「ちっ」と舌打ち。
妹なら、絶対にしない事だ。
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