第2章 双姫と羨望の歌劇団
第1話 いざ! ディオスクリ歌劇団へ!
エルフリッドでの戦いを終え、街から北に離れた丘でリーシャと合流したフォルカたちは情報収取のため、リーシャが友達と行く予定であったガントル領中央近辺で現在活動している歌劇団の舞台公演をしている場所を目指していた。
エルフリッド北にある丘から馬車で10日ほどと決して近い場所ではないが、入り組んだ山道も越えるのでというのもあり、エルは馬車で長旅に慣れていないんで疲れており、そんな様子を見て四人はエルに感づかれないように休む時間を多くし、今も山を越えたすぐの小川の近くで馬車を停めて休んでいた。
「ディオスクリ歌劇団?」
「はいっ! 世界の歌姫と呼ばれた「マザー」こと、ヴァネッサ・ゲザルグさんが脚本を務める歌劇団です!」
「有名なのか?」
正直娯楽なんてまったく知らんし、世界のと言われても世界中の国にまったく言ったことが無いから分からん。
でもリーシャがうるさいくらいに興奮しながらしゃべってくるってことは相当すごいんだろうな、確かに人が集まるってのも納得できる。
「もちろん! 世界中を旅しながら公演しているだけあって、どの国の人でも名前は聞いたことはあると思います」
「それは凄いな…少し興味が出てきたよ」
「よろしければ歌劇団の歴史についてお話しましょうか?」
ぐいっぐいっ! と話がしたいのだろう、フォルカに対して押しで攻めるリーシャ。
詳しく説明してほしいほどは興味が出ていない中、上手に断り切れずに困るフォルカ、そんな2人のところにジンがやってきた。
「元気そうだな! だったら出発まで1時間あるし修行でもするか!」
「むぅ」
最高のタイミングで来てくれたジンも凄いし、その切り替えができるリーシャも凄いな、この2人は呪源たちの力が無かったら歯が立たないから良い修行にはなるんだけど、2人とも夢中になりやすいから歯止めが効かなくて、ロロがいないところでやりたくないんだけどな~。
「よし! 今回は自分の間合いを保てるような立ち回りをする修行だ」
「はい! お願いします」
実力者のジンに対して、武芸の面では慕ってるからなー、というかまだ合流してから7日間しかたってないのに凄く5人が馴染んでるのは凄いことだな。
ロロとエルは川で遊ぶって言ってたし、諦めて修行に励むとするか。
「よし! やるか!」
◇
ーーその日の夜
「にゃ~、後2日くらいかにゃ?」
「そのくらいだろう、順調だな」
ロロとジンが予定を確認している。この2人は長旅の経験が豊富のようでかなり慣れてるし、俺とリーシャに交互で休憩のたびに修行をつけてくれているのに、全然疲れているように見えない。
正直俺はけっこうクタクタだし、リーシャのほうを見ても、もういつでも眠れるって顔をしているから相当疲れているだろう。
エルも俺たちが休憩の旅、ロロかジンの空いているほうに付き合わされて、食材探しや寝床探しをしてくれて頑張ってくれている。
「俺もマザーの話は聞いたことがあるのでな、少し楽しみになってきたぞ」
「さっきチケットみたら普通とは違うっぽいけど、何か特別かにゃ?」
ロロの質問に、夢の世界に旅立ちそうだったリーシャが覚醒したかのように目を見開いた。
「そうなんです、これは3日間舞台も近くで観れて、練習や舞台裏なんかも見せてくれる年数十組しかゲットできないチケットなんですよ」
「リーシャさんすごいです!」
「そんな凄いもん、よく手に入れたな」
「何年も探し求めて、ようやく手に入りました。劇団員の皆様の話を出来る時間もあるので、世界中を旅する劇団員さんたちからも話を聞くチャンスです」
逆に劇団員たちが狐面の行先だとか、同じような事件だったり、そんな噂を聞いたことがあったらあったで驚くけど、可能性が0なわけじゃないから有難い話だ。
「劇団員の中にも呪い持ちの方もいますから、もしかしたら有益な情報があるかもしれないですから、3日間のチャンスを活かしましょう」
「気合入ってるにゃ~」
「おぉ! 頑張るとしよう!」
「頑張ります!」
各々が気合を入れる、俺も頑張って手がかりを探さないとな。バレないように『
フォルカ自身も決意を改めてしたところで各自就寝の準備をする、とりあえず早く休みたいフォルカだったが、話し合いの結果最初の見張り番になり落胆するのであった。
◇
「見えてきましたね」
まだ少し離れてるけど、広い街道のど真ん中に、高さはそこまで無いけど横には長いデッカイ船みたいなのが鎮座している。その周囲には何か売っているのだろうかテントがたくさん立っている、遠くから見ても人がいるし、賑わっているのが判る。
出来れば人混みは嫌いだから行きたくは無いけれど、これも今後のためと思って慣れるしかないか。
「近くに馬車を停めて、私が受付を済ませてきます」
「よろしくにゃ~」
「す、すごい…」
リーシャ・ロロ・ジンさすがに慣れているのか、特に動揺なんかせず、近づいてくる劇場を前に淡々と段取りを決めている。
俺とエルは想像以上の規模にビックリしてるけど、いつまでも驚いている場合じゃないな、準備しないと。
「なんか嫌な予感がするんだよな」
フォルカの独り言は誰の耳にも入らず、一同は劇場の近くへと馬車を進めた。
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