一章
朝の出来事
「おい!
朝からテンションの高いコイツは、高校で仲良くなった
「オレ、FPSはマイクラですら酔っちまうからな…すげぇよ織太」
俺の前の人の席に勝手に座り、イチゴ牛乳を片手に俺達の話を聞いているコイツは、俺の幼馴染で、RPGゲームが大好きな
俺にゲームの楽しさを教えてしまった罪深い存在だ。
「あーそういや、今日の古典は自習だってよ…まったく、ヤスっちは何回やらかせば気が済むんだ?」
信人は、教室の前の掲示板にある時間割表を眺めながら言う。
「
俺の席は窓際の列の最後尾。
前の時間割表を見るのは結構な視力がいるはずだ。
「まぁオレ
ゲームばっかしてる発言に怒ったのか、少し毒を入れながら信が言う。
「信人!お前それは違うぞ!小太郎は恋の為にノートの取りやすさを犠牲にしてるんだ!」
織太は俺の隣の席を指差し、信に「小太郎の隣の席には誰が座っているか、分かるか?」と質問する。
「え?知らん」
「は?……いや、信人はカノジョ
やめてくれ織太…俺にも羞恥心ってものがあるんだ…
俺は少し顔が熱いのを自覚しながら、立ち上がり織太に言う。
「あのなぁ、確かに俺は
「…わたしの事が…なに?」
俺の隣の席、麻屋部の机に手を置いた織太の後ろに、まさに、その麻屋部がニコニコしながら立っていた。
「あっ!…あの、そのぉ…お、おはよう麻屋部…えーと、小太郎!ごめん!」
ピューッと、織太が教室を出て行く。
麻屋部は出て行った織太を見届けるとこちらを振り返って言った。
「あはは、わたし変な事いったかな?」
バックを持っていない左手を頭の後ろに回し、苦笑いを浮かべる麻屋部。
「あー、知らんけど多分、織太の奴の自爆だろ、気にすんな麻屋部…そういやぁ今日の古典自習らしいぞ」
真っ赤になって喋れない俺の代わりに…なのかはよく分からないが話を
「ん?コタロー、さっきなんか言いかけて無かったか?」
…全然ナイスじゃなかった…信はこう言うところ
なんで彼女出来たんだコイツ。しばくぞ
「い、いや、えーと…べ、別になんでもねー、無いよ…」
俺は、ものすごくキョドりながら、麻屋部、信、天井、床、という風に高速で視点移動する。
「あーそうなんか、すまんなコタロー」
「えっとー…じゃあ、また後でね
麻屋部はカバンを机の横にかけるとひらひらと手を振って教室を出て行く。
それに続いて信もイチゴ牛乳のパックを握りつぶしながら出て行った。
多分2人とも、向かった先は信人の彼女のクラス、2-A組だろう。
はぁ…ものすごく何か失敗した気がする…
「ごめん!小太郎!おれ…ほんっとに気づかなかったんだ!」
入れ替わる様に戻ってきた織太がペコペコと頭を下げて謝ってくる。
「悪いのは織太じゃねぇよ…はぁ〜俺こ
んなんで良いのか…」
俺の家は
母さんが死んだのはショックだったけど…それ以上に、あんなに頼もしかった父さんが、どんどんやつれていったのが辛かったよな…
「でもまぁ気にすんなよ!麻屋部だっていつかきっと…
織太が
「はーん、お前みたいな馬鹿が
朝から嫌な奴に絡まれた……麻屋部と同じバスケ部のエース
運動は出来るが、性格と
だが、驚くべき事に、あの優しい麻屋部の幼馴染である、らしい…
でも、目黒から麻屋部にはしょっちゅう話しかけてるけど、その逆は全然見た事ないんだよなぁ…
片想いなのか?だったら好都合だけど…
「いや違うんだ目黒、別に織太は麻屋部の事どうも思ってないんだよ」
「はーん、じゃあお前が想ってる訳だな西谷ぁ……ププっ、まぁ?ハゲのお前じゃ?俺様が介入しなくても、元々無理かっブフぅ」
汚く笑いながら俺の頭を指差す目黒。
「あぁ?剣道部舐めんなよヒョロヒョロしやがってこのチャラバスケ部が」
「ふーん…俺様に喧嘩売んのか西谷ぁ」
「まぁまぁ落ち着きなよそこの2人」
サッカー部エースの
成績優秀で運動も出来て、その上性格もいい、正義感溢れる人気者。
…でも、大将も麻屋部の事好きだって噂があるんだよなぁ。
ちょうどそこでチャイムが鳴り、信と麻屋部が教室へ戻って来る。
俺も席に着き、目黒も舌打ちすると前の方の席へ戻って行く。
大将は俺にニコりと笑いかけると席に戻った。…
とりあえず今日は朝から大変だなと思い俺は机に
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