5.モチベイション・モチベイション
「私の故郷のジャングルは、
私は森の意志を体現すべく、すべての人間を抹殺するためにこの街へとやってきた。だが、すぐにそれは間違いだったと気が付かされた。アキハル。君が私を変えたのだ」
「すべての人間が薬物の誘惑に屈し、堕落と悪の道を歩んでいるわけではない。君のように強靭な意志で誘惑を断絶し戦う人間がいる。それは希望であり、絶やしてはいけない光のようにも思えるのだ……」
俺は半分くらい何を言っているのか分からなかった。なんでゴリラが人間より難しいこと言ってんだよ。
「お前はなんのために戦う? アキハル」
「俺か? ……俺はダニーボーイなのサ」
ようやくシンプルな話になってきた。手は自然と、
とても悲しいことがあった。だがそれは遠い昔の日のことだ。確かにそこには何かがあった。だが今は
メリー、メリー。
「知ってるだろ、
「
ゴリラは深いため息と共に、思慮深い横顔を覗かせる。
「酷い戦争だった。私の
「ああそうだ。思い出すだけで胸糞が悪くなる戦争だった。俺は拉致同然で
「その時に負った言語障害が……今でも?」
「いや。これは
「失礼。話の腰を折ったようだ」
「気にすんな。……そしてようやく戦争が終わったと思ったら――待っていたのはオーバードーズした
メランコリーだゼ。
「そう、つまり……
もしこの世に薬物が存在しなければ、今とは違った人生を歩んでいたかもしれない。或いは
だが、どちらの未来も俺の元に訪れなかった。
世界はクソったれで運命はカス。とんだ
「それで
「ああ。俺は
俺はギターの弦を
「そのまま一曲、歌ってくれないか」
俺は小さく頷いて、脳内で浮かべた即興のリリックを星座のように繋げてみた。
必要なのは
「それでは聞いてください。
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