第32話 昨日の話

 俺は平澤先生しか使わない準備室に海斗と蓮を連れてった。

 許可はしっかり貰ってるので問題ない。


「昨日会ったことを話してもらおうか」

 準備室に入ってすぐ、蓮は聞いてきた。

 やっぱり気になるよな。

 俺が蓮の立場でも気になる。


 俺は昨日会ったことを二人にしっかりと話した。


 春の家に行って表向きは異常がなかったこと。

 俺と悠亜はなにか事件に巻き込まれてたりしてるんじゃないかと思ったこと。

 悠亜は動き出して俺は動いていないということ。


「これで全部話し終わったよ」

 そう言って俺が話し終わると海斗が聞いてきた。

「空と悠亜は何が気になって事件に巻き込まれているって思ったの?」

 確かにそこは気になるな。

「それとなんで悠亜は動いているのに空は動かないの?」

 うんうん、そこもな。

「なんで空は優柔不断の女たらしなの?」

「ちょっと最後のおかしくないですか」

 最後に混ぜてきやがったこいつ。

 人がちょっと真面目に話してるってのに。


「まぁ正直空のことはどうでもいいんだけどよ」

 おい蓮、それは酷いだろ。

 俺が心の中でツッコむも気にせず蓮は話を続けた。

「空と悠亜が思っている巻き込まれているかもしれない事件ってなんなんだ?」

 やっぱりそこだよな。

 だって心配だもんな。

 わかるわかる。

 そんなことを思いつつ、俺は悠亜に話した内容をそのまま伝えた。

 

「え、それだったらやべぇじゃねぇか」

「空、なんでそんなこと黙ってたんだい?」

 蓮と海斗に詰め寄られた。

「だって確証もないのに言ったら馬鹿だろ」

 ふぅ、と息を吐く。

 確証もないのに言ったら違った時嘘つき呼ばわりされるだろ。

 この前も百合大好き変態くん呼ばわりされたし。

「確証がなくても俺たちには話してくれよ。起きてたら一大事なんだぞ」

 真面目な顔で蓮に言われた。

 起きてたら、ね。

「確証がなくても悠亜みたいに確認する程度はいいんじゃないかな?」

 その通りですね。

 何も言い返せません。

「まぁ伝えなかったのはすまねぇ。けど動いてないのには考えがあるからなんだ」

 俺がそう言うと二人は興味津々という顔で聞いてきた。

「早く教えろ」と。

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