第22話

「はぁ……はぁ……あっ……」

 今エロいことしてると思ったやつ絶対いるだろ……。


 遡ること三十分前。

 一緒のベッドで寝ることになった俺たちは寝る前にスマホで某FPSゲームをしていたんだ。

 それでFPSをやってる途中悠亜が急に恋バナを始めだした。

 

「ねぇ空は私たちの中で誰が好きなの?」

「うーんみんな好きかなぁ」

 今の俺にはそんな答えしか出せない。

 みんなのことは好きだから嘘はついてないけど。

 ここで誰かを選ぶとかはできないな。

「いっつも空はそれだね。みんな好きって」

「実際みんな好きだけどね」

「けどそれは異性としてだったりじゃなくて友達として、でしょ?」

 その通りだ。

「けどいつかは向き合ってくれる。そうだよね?」

「いつか、な」

 あいつを見返す。

 それさえ終われば向き合うなり付き合うなりしようと思っている。

「でもさ、待たなくてもいいんだぞ」

 悠亜たちにはひどいことをしてる自覚はある。

 だからこそ、俺みたいなやつが向き合ってくれるのを待たなくてもいいと思う。

 けど悠亜は言うんだ。

「私たちは空のことが大好きだから、待ちたいの。選ばれるのが私じゃなくてもいいとかは言わない。だって私を選んで欲しいし、私が空とずっと一緒にいたいもん」

 ほんとに悪いと思っている。

 でも俺は主人公になるために負けっぱなしじゃダメなんだ。

「私たちは空がやることを終えて向き合ってくれるのをずっと待ってる。だからさ、空」

 彼女は俺を包むように言う。

 そして背中を押してくれた。

「頑張って」

 そう優しく真っ直ぐと……。


 俺が悠亜の言葉にジーンとしていると悠亜が叫んだ。

「空っ! 前見て前! 敵きてるよ!」

 くそっ。

 いい雰囲気だったのに邪魔しやがって。

 ぶっ○してやる!


 そう思いながら俺は銃をぶっ放して見事撃ち負けたのでした。

 その後、悠亜が敵を全員倒して一位になったので満足して布団に入りましたとさ。

 俺ゲームよわ。


 まぁゲームは置いといて寝るかと思った俺ですが俺も男なんで当然おっぱいとか女の子の身体が当たるとドキドキするわけですよ。

 なんならあそこが元気になってます。


 同じ布団で当たらないわけがなかった……。

 そんな俺に悠亜が話しかけてきた。

「ねぇ空」

「何?」

「ドキドキしてるでしょ」

「そりゃね。学校一の美少女にここまで密着されたら誰だってドキドキするよ」

「えっちなことしたい?」

 あれっ雰囲気的にやばい。

「そりゃしたくないと言ったら嘘になる」

「じゃあしよっか」

 悠亜はこっちに近づいてきて……。


 

 そして時は現在。

 俺は悠亜にマウントポジションを取られているわけですが。

「するわけないだろ! ばか!」

 どうにか俺の理性が仕事をして貞操は守られました。

 すると悠亜は目に涙を浮かべて、「もう知らないっ! 女の子に恥かかせるなんて……ひどいっ」って拗ねて寝た。

 

 ふう……よかった……。

 悠亜っていっつも俺が好きとか言うだけで照れるくせに、深夜テンションかよ。


 てか深夜テンションってこわ。

 もう少しで俺の貞操が奪われるとこだった……。


 けどさ、やりたくなるほど俺のこと好きで不安に思ってんのかな。

 

 俺は悠亜にしっかりと向き合わないといけないな。

 そう思いながら俺も寝た。

 

 



 


 


 


 

 


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