第7話 3日目

 規則的に鳴るベルの音で現実に引き戻される。もう朝か、やだ、学校行きたくない…


 何とか眠り直そうとする体を無理やり動かしてベッドから出る。最近大人ぶって買ったインスタントコーヒーをブラックで飲もうと電子レンジでお湯を温める。その間に洗面所に移動し、金髪の上から今日は少なめにワックスをかけ、ピアス跡にピアスを通す。


「今日は体育があるんだっけ…」


 干してある洗濯物の中から体育着を探して適当に袋に放り込む。口を閉めて、リュックに投げ入れる。体育は嫌いではないが、そこまで好きでもない。着替えるのがめんどくさいのと、まじめにやるのがどこか馬鹿馬鹿しい感じがするのだ。


「ま、そんなこと言ってても仕方ないし…行きますか」


 靴下を履き、制服を緩く着る。靴を履いて外に出て、鍵を取り出して鍵を閉める。自転車に乗って何となく漕いでいると、まだ少し冷たい風が顔に当たってもう少し厚着すればよかったと後悔する。


「はぁー、まだ3日目だというのに、学校行くのも倦怠になって来たのう」


「はいはい、もう疲れちゃったんですか、おじいさん?」


「ほえふ!?!?」


 独り言だと思ってつぶやいたのに、返事が返ってきたことに変な反応をしてしまった。


「な、なんだよ、萌依」


「はっはは、透也ったら、相変わらず面白いねえ」


「お、面白いことなんてねえよ!」


 馬鹿にされたような気がして即言い返してしまったが、萌依が何かを言っていたような気がしなくもない。まあ、気のせいだろう。


「こうやって一緒に学校行くのも、久しぶりだね~」


 確かに。いつも俺はぎりぎりの時間に急いで行くことが普通になっていたから、朝に萌依と会うこともほとんどなかった。


「ねね、それでさ、彼女さんとは結局あの後どうなったの?」


「ぶほえ!?!?」


 そんなこんなで、今日も多分慌ただしい1日が始まった。

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どん底から始まる恋もあるらしい りゅう @Ryu_AKM

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