魔王のなり損ない勇者は、一人でいい

@Musutangusu

魔王のなり損ない勇者の始まりの冒険

第1話 魔王になれなかった男

僕は、村に来た騎士達に適正職業を見てもらっていた。


僕には幼馴染がいる。そして僕達は悪虐非道の魔王になるはずだったが。


「え!?な、僕に勇者の特性が!?」

「あぁ、お前には素晴らしい勇者の特性があるのだから、絶対になるべきだ」

と、騎士は首を掻きながら言う。

そして周りも、「凄い!なるべきよ!」

そ、そんな、僕は、勇者じゃなく、その真逆の魔王になりたいんだぁ!!

「でも、僕は嫌です、いや、です、、、」

「俺は、絶対にそっちのがいいと思うんだけどなー、俺は、お前のために言ってるんだぞ?」

「う、あ、はい」

「ん?それは、いいってことだな?おぉ、」

そして大声でこう叫ぶ

「勇者の誕生だぁ!!!」

そして周りも「うおおぉぉぉぉ!この村から!」

と、みんな騒いでいる。その後ろの方で、凄く冷たい目をした、幼馴染のアマネが見ている。そして何かを言っている。

あぁ、どうしようどうしよう、答えたつもりじゃなかったのに、どんどん、離れていってしまう。どうしよう、僕は魔王軍で、上り詰めて、アマネとダブル魔王になろうと思っていたのに、、、僕の人生めちゃくちゃだぁ!!


僕は馬車に揺られていた。

「君、もう着くよ?」

「は、はい、、」

僕は、引き離された悲しさで、気分がだださがりしていた。

「はぁ、、」

僕は、ため息をついた。あれからほぼ無理矢理、馬車にのらされて今だ。誰だって気分が悪いに決まっている。だって、僕は本当は魔王になりたかったのに、アマネと一緒に魔王になりたかったのに、なんでこうなったんだ、しかも僕の荷物持ってこさせてもらえなかったし、、なんなんだ?急いでたのか?ならまだ許せるが、、でも5分くらいは時間くれるだろ普通、

「はぁ」

僕はまたため息をついた。

「そんなため息ばっかついてたら、運気が逃げていくぞ!お前は勇者になるんだからな!」

と、騎士は、言う。

「はぁ、だからってそう元気になれるもんじゃないよ、人間っていう生き物はね、結構ね元気になれないものですよ、ほら、犬とかだったら、エサとかあげたらすぐに元気になるじゃないですか」

「んー、犬ね、、君結構面白いこと言うね、あ!名前を聞くのを忘れていたね、いやー、普通こういうのは、最初に聞くべきなんだけど、なんせ、勇者適性が出るとは思ってもみなかったから、聞くのを忘れていたよ」

と、騎士は、苦笑し自分の頭をぽかっと殴りながら言った。

「僕、イクアデア、カンタと言います、普通の名前でしょ?周りからも何も特徴のない名前って言われるんですよ」

「いや、いい名前だ、ちなみに俺はライナンと言う、俺も普通の名前だ、だから気にすることはない」

と、騎士は、普通に返してくれた。案外いい騎士なのかもしれない。でも名だけって、少し気になった。が、聞いたらいつでも教えてくれるだろうと僕は聞かなかった。


そうこうしているうちに、着いたらしい

馬車が大きく揺れた。

「お!ついたようだな」

そう言ってライナンは、馬車をゆっくりと僕の手を取りながら降りる。

「ようこそ、ここが我々の国の首都である、アカマントスだ!そしてここがその王城だ!67人目の勇者よ!」

僕は自分の耳を疑った。

「ろ、67!?人目の勇者!?」


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