1章6話『3人の旅立ち』
午前中は緑寮の修復や怪我人の治療だ。怪我をしていても、魔法は使えるし、動けるものは動かないと修復が間に合わない。カナリの治療を手伝ってから、あずさ、
あずさ、
昨日の残り物の餅を食べ、微笑ましい二人を横で、ぼんやり黒ローブのことを考えていた。
あずさ「
あずさが先ほどから無反応な
あずさ「ついに頭のねじが全部抜けたとか?」
あずさ「
嘘をついた。
あずさ「でも、何はともあれ、これでまた3人一緒だね。」
そうだ。それは俺にも朗報だ。
寮に戻ると、カナリと
カナリ「待っていたわ。一応、全員の緊急な処理は終えたの。」
カナリ「建物自体の損傷は少なかったの。バリケードのおかげよ。ありがとう、良い案だったわ。でも、怪我人の治療は終わらないから、後一週間は手が離せないわね。」
カナリ「あたしは、ここの後部進学だから移動ほとんどないし、荷物もゆっくり移せばいいから。あれ、結局、他校の後部に行くことにしたの?」
カナリ「へぇ、なにがあったんだか。まぁ、頑張りなさいよ。さて、次に行かないとっ!」
カナリが疲れのせいかよろけたのを
まぁせいぜい、お二人で幸せにお過ごしください。
他の最高学年残り二人は双子のカイト、リンド。二人は工作が得意で、緑寮が再度襲われたときのために、対魔獣用の胞子砲弾システムを構築している真っ最中。
カナリが治療の指揮を取る一方、
新しい年度の始まりは、
8年もいたアミテロス島だが、実はそれほど執着はなかった。強力な結界に守られたこの学校で、
すでに、自分の身の回りのものは、昔の思い出のように感じられた。カイト、リンド兄弟と作った蛇が時計を口にくわえた形の木彫りの目覚まし時計も、つぎはぎだらけの毛布も、
深夜皆が寝静まったころ、
まず、例の目覚まし時計は持っていくことにした。その他は事務所によれば、新しい寮に移動するにあたって必要な最低限の荷物は次の通りだった。
失敗したくない人向け、学校移動時の持ち物リスト!!
MB 多いければ多いほど良い。
地図、時計、衣服、通貨(MB)、非常食(食あたり防止)、浄水器、救急パック、武具、※結界石(魔獣の侵入を防ぐ結界としての役割を果たす.MB)、火薬、その他(必要に応じて各自持ち物をそろえること.)
MB 多いければ多いほど良い。
※ すべての魔獣に有効とは限らない。
これだけ見ると、サバイバル用品ばかり多くて嫌な予感しかしないな。移動ってそんなに危ないのか。というか、食あたり防止ってなんだよ。
それからの数日は、治療と修理の作業と、持ち物の処分と、新生活への荷物の支度に追われた。翌朝、
というのも、カイト、リンド兄弟に進学先を話すと、
カイト「そうだ。畑の山菜、3等分して山分けにするか。うん。そうしよう。」
となったからだ。畑というのは緑寮所有の畑のことで、魔獣の襲撃を運よく免れ、無事だった。
リンド「いやぁ、育てすぎも考え物だよねぇ。」
カイト「根を上げるのはまだ早いぜ。これから、塩漬けにするんだからな。」
数週間は救急パックには、標準的なセットに加え、干した
カイト「しかし、魔物部なんて、また、タフなとこ志望するね。」
リンド「
リンド「まぁ、昔から君は昔から変人だから。」
カイト「蛇龍でも倒したら、うろこでも送ってくれよ。そうしたら、粉末にして送り返す。」
カイトとリンドは
カナリに毎日傷を治療してもらって、骨もつき腕も動くようになった。そしていよいよ出発の日の前日を迎えた。
3月27日 早朝6時 アミテロス魔法学校正門にて
カナリ「たまに、手紙でも出しなさい。」
カイト「蛇龍のうろこもね。」
リンド「言ったからには、きちんと送れよ。」
俺はそう言って別れると、あずさや
3月27日 早朝6時30分 アミテロスの社に行く道中にて
あずさ「聞いてないの!?驚き。これから、アミテロスの社へ行くのよ。船じゃないわよ。」
あずさは、さも当たり前のように言うが、北側の大陸の東端の国であるラルタロスに船を使わずに行くなんてできるだろうか。
あずさ「この辺は魔獣が少ないエリアだって地図に載っているけど。」
学生が公に利用する道ぐらい、すべて結界で保護しておけよ。
しかし、辺りを見回したが、今のところ襲ってくるものはいない。
あずさ「地図ではあと3km程度よ。速く進みましょう。」
地味に遠いな。
魔獣に出くわすかと注意を払ったが、何事もなく3人は無事アミテロスの社の正面に到着した。古びた木製のの巨大な鳥居をくぐって、そのまま奥の本堂らしいところ前に到着した。
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