第38話 100日後に食われる豚

Q 11歳 女子

私の学級ではミニブタを飼っています。命の大切さを学ぶために、担任がどこかの農家さんからもらってきました。この豚にはぴーちゃんという名がつけられました。皆で決めました。ぴーちゃんはとても可愛くて、授業中も、ピーピー鳴きながら、教室内を走り回ります。私は動物は苦手ですが、毎日可愛がっていると、自分の家族、姉妹のように思えてきます。(ぴーちゃんはメス)今では、添い寝ができます。

一つ気になることがあります。

うちの小学校では、5,6年になると動物を飼うクラスがありますが、卒業時にはその動物たちの姿が見当たらなくなります。

噂では、元の飼い主に返した、貰い手を見つけて譲ったが有力ですが、ブラックな噂では、豚、鶏、ウサギ、ヤギに関しては、とちくセンターで解体して、皆で食べるというものです。


スーパーで売っているパックに入った豚や牛、鶏肉には、感情をもちません。

私たちが生きるために、食べている肉なのですから・・。


ぴーちゃんは、私たちにとって特別な存在ですし、もしそういう教育のためにぴーちゃんを飼っているとしたら、先生たちが許せません。

自分の家族や姉妹を食べる人がいるでしょうか!


ぴーちゃんはどうなるのでしょうか~


A 残念ですが、ぴーちゃんは食肉になる運命です。

ぴーちゃんを家族、姉妹と思う、あなたの感情は正しいと思いますし、共感できます。ただし、この問題には答えが存在しません。


同じ動物でも、猫や犬のように、ペットとして飼われているものを食べる習慣は日本にはありません。

お隣、中国では人間以外?の動物は全て漢方というテイで食べます。猿やアルマジロ、猫や犬は勿論、コウモリすら食べます。


世界を見渡すと、くじらやイルカは哺乳類で知能が高く、人間に近い動物なので、捕獲したり食べたりしてはいけないと言う団体もあります。日本人はくじらやイルカを食べる習慣があり、野蛮な民族と思われているようです。


宗教上、豚や牛を食べない人たちもいます。


食肉の豚や牛を飼っている方は、丹精込めて、愛情をこめて育てていると聞きます。

もしかしたら、家族以上の思いが一頭一頭にあるかもしれません。


教科書やドリルで学ぶことには答えがついていますよね。

でも、人間社会には答えが出せない、誰も分からないような難問が山積しています。

目の前の可愛い猫ちゃんは食べないのに、可愛い子ブタは食べるのか。


ぴーちゃんを食べながら、自分の心と対話すること自体が小学校生活最後の勉強になると思いますよ。


人間って何者なんだろう、私たちってどういう存在なの?


最後の大きな壁を乗り越えて、謎多き人間の一員となってくださいね!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る