第8話 私に罪はありますか?
Q 43歳 女性 宇宙飛行士
ISS(国際宇宙ステーション)に搭乗し一緒に働いている、アメリカ人のジャックが嫌いです。ジャックはリーダーで優秀ですが、アル中だったころの私をネタに、クルーの仲間たちとゲラゲラ笑うのです。
私が若い頃、集合住宅でダラダラ生き、閉塞感に満ち溢れていた毎日、近所のクソジジイに絡まれたことを思い出し腹が立つんです。
宇宙飛行士は、閉ざされた空間で過ごしているせいか、道徳心が低下しがちです。皆、無重力や地球を眺めることも三日で飽き、後はただひたすら与えられた任務を遂行する日々。
地球の人々からもそれ程注目を浴びているわけでもなく、時々どこかの科学館と中継が繋がり、無重力パフォーマンスをしたり、どうでもよい質問タイムがあるだけ。
私は、ジャックが日本語を知らないことをいいことに、奴を「くそやろう」と呼んでいました。ある日、日本の科学館と中継が繋がったときに、ジャックは自己紹介で「ワタスノニックネームハ、クソヤロウデス。」と言って、子供たちや付き添いの保護者がひいていました。
日本の科学館からは、発言に気を付けてほしいと中継後にクレームが入りました。
ジャックは日本語のスラングだと知り、それ以降、私との関係が気まずくなりました。
集合住宅に住んでいた頃は、嫌いなジジイがいたら、尻を蹴飛ばしていましたが、今はそうもいきません。
ジャックが船外活動に行ったときに、命綱を一瞬外すイタズラをして驚かそうかと計画しています。
そんな私に罪はありますか。
A 歯磨き粉をワサビにするくらいにしておきましょう。嫌なことがあっても、逃げ場がないのはどこも一緒なんですね。人間がいれば、どこでも同じような現象がおきるとは勉強になります。1997年カナダで制作されたCUBEという映画は観たことがありますか?お暇なとき、是非ご覧ください。
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