Lv3.市街地戦(オワリーの町)



 青いマントを纏い、町の通りの真ん中に立っている少年エタルが、離れた場所で仁王立つトロールを睨んだまま魔法陣の起動命令を口遊くちずさんだ。


魔転サリス


 エタルが唱えると、下に向けて構えていた剣の刀身に自転する魔法陣が幾つも連なって浮かび上がる。


「シュレディ。空中戦の用意だ」

「空中戦? 相手はトロールだよ」


 トロールは巨人のモンスターであり翼は無い。翼の無いモンスターに空中戦つまり空中での戦闘はできない。なのにエタルはトロールと空中戦を開始するつもりでいた。

 エタルは自分の剣に櫛団子のように発生させた幾つもの自転する光学魔法陣を操作し、いつでも空中戦に突入できるように調整していく。


FUDファッド展開。三番から五番までの各属性魔法陣回転開始。推進魔法、気圧魔法ともに回転数正常。空中戦闘に支障はなし)


 自転し逆回転もする色採り取りの各種魔法陣が回転速度を上昇させていく。エタルの周囲にも円形の光学罫線が取り囲むように幾重にも発生し目盛が罫線に沿って周期的に回転していた。


「なんダ? その魔法陣ハ?」


 今まで見たことがない魔法陣を目にして、明らかに趣の違うエタルの様子にトロールは警戒する。


「何をする気か知らないガ。非力な魔法使いが魔法陣を使ったところでどうするつもりダッ」


 エタルの目の前でトロールが消えると、右から飛んできたトロールの棍棒を剣で受け切って風圧が発生した。トロールが更に踏み込むとエタルもその踏み込みに任せて棍棒の威力を受けて空へと打ち上がる。


「オレの攻撃をワザと受けた?」


 棍棒を振り切って呆気に取られるトロールに目掛けて、空へと打ち上がったエタルから二発の斬撃が飛んできた。飛んできた斬撃はトロールの肩と脇腹に痛覚と衝撃だけの斬り込みを入れてトロールにお前も一緒に空に跳び上がって来いとおいう誘引の意図を伝える。

 エタルの誘い通りトロールも脚に力を入れると跳躍した。このオワリーの町の主な建築物である木組みの家々を軽々と飛び越す跳躍力で放物線を描いて落ちていくエタルの真横に現われると棍棒を右に振り払う。

 それを既に熟知していたエタルは棍棒の振り払いを空中で身を屈めて避け切り、更なる棍棒の連打を全て打ち落として最後の一発を受けるとまた再び大きく彼方へ吹き飛ばされた。

 今度は町の地平に沿って並行に打ち飛ばされ、




 ここでtake2は終わります。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る