友人に寝起きドッキリを仕掛けたら、バズーカが本物だった件
青水
友人に寝起きドッキリを仕掛けたら、バズーカが本物だった件
友人に寝起きドッキリを仕掛けることにした。
僕はとあるルートからバズーカを仕入れた。日頃、友人には数多くのドッキリを仕掛けられているので、たまにはこちらから仕掛けてやろうと思った次第であります。
早朝バズーカ的な。テレビのドッキリでよくあるやつ。
僕は朝5時に起床して、友人宅へと向かった。恋人ではない、単なる友人である僕は、もちろん合鍵なんて代物を持っていない。昔学んだピッキングで頑張って解錠、そして忍者のように音なく侵入。
「く、く、く、く……」
友人はベッドですやすやと熟睡中。僕のバズーカが爆発するぜ!
友人の枕元に立つと、持ってきたバズーカを構える。音がかなり大きいと聞いたので、さすがに友人の耳元に向けたりはしない。地面と平行に、壁に向けて――
「行くぜ」
放つ――
ドガアアアアアアアン!!!
……ん? なんか、おかしくないか、これ……?
轟音に驚いた友人は、ベッドから飛び起きた。トランポリンの上をぴょんぴょん跳んでいるみたいに弾む。
「な、なんだなんだなんだなんだ!?」
「いえーい。ドッキリ大成功……」
そう言って、プラカードを上げる僕。しかし、声は小さかった。思っていたのと、だいぶ違かったからだ。何が違うのかというと……。
「おい! 壁に穴が空いてんじゃねえか!」
「いえーい。……ごめん」
僕は素直に謝った。
謝罪最終奥義――土下座である。
「どういうことなんだ、一体?」
「実はですね……寝起きドッキリ、早朝バズーカに使うためのバズーカ……これなんだけど、とある知り合いから買った物なんだけど、これさ、本物のバズーカだったんだ」
「おい、銃刀法違反じゃねえか!」
「てへっ」
「『てへっ』じゃねえよ」
「いやあ、ドッキリ用のバズーカにしては随分高いなーと思ったんだよね」
「買う前に気づけよ」友人は呆れ顔だ。「というかさ、この壁の穴、どうすんだよ……」
「修理するしかないね」
「それと、早朝からアホみたいな轟音響かせてさ……これ、近所迷惑じゃん」
「謝るしかないね」
「俺、このマンションから追い出されるんじゃねえのか……?」
「……」
「……」
「……」
「……どう責任とってくれんのよ?」
僕はバズーカとプラカードをその辺に捨てると、
「アディオス!」
と言って、窓ガラスを突き破ってベランダから飛び降りた。
ちなみにここはマンションの4階。超人ではない僕はただではすまず……脚の骨を折ったのだった。
その後、鬼と化した友人は、僕に責任と取らせるために、血眼になって僕のことを追いかけてきた。鬼ごっこである。貧乏な僕は責任を取りたくないので、友人から逃げ続けている。
友人に寝起きドッキリを仕掛けたら、バズーカが本物だった件 青水 @Aomizu
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