第17話 天使の子。
カーテンの隙間から朝日が覗く。ああ、ちょっと眩しいな。
あたしは軽く伸びをするとあたしの上ですやすや寝ているミケコの体を撫でまわし、「ごめんねそろそろおきるよう」と声をかける。にゃーと抗議してたちあがったミケコ。そのまま頭の上、まくらの上に移動してくれたのでよっこらと身体を起こしカーディガンを引っ掛け廊下に出た。
まだお母様は起きてこない。
寝床を覗くと「ごめんルリアもうちょっと寝かせて」という声。
まあしょうがないよね。「いいよ母さん。疲れてるよね。あたしちょっと散歩してくる」と声掛けて洗面所へ。もう少し寝かせてあげよう。散歩から帰ったら今日の朝ごはんはあたしが作ってあげよっかなと考えながら着替えると、サンダルをつっかけて外に出た。
昨夜の雨が嘘のような真っ青な空。気持ちのいい風は春を通り越して初夏のように心地よい。
今日は休息日なせいか街ゆく人にも合わなくて、あたしはお花が咲く垣根を楽しみながらゆっくりと近所の公園に向かった。
きらきらとあたしの周りを飛び交うギア・キュア。
きゃらきゃら笑いながらあたしに囁くように声をかけてくるそのキュア達に、自然とあたしの顔も笑顔になった。
ゲートからマナを放出しそれを魔力に変え
この子達が媒介する事でマナから魔力への変換効率は格段に上がり。もちろんギアが媒介しなくても魔法の行使は可能だけれど、ギアの権能を行使する
ギアは、いろんな種類の子がこの世界に満遍なく存在する。
通常、ちょこっとだけ空間の位相が違うところに在るから見えないし感じられないのだけど。
それでも。
あたしやお母様はこのギアを感じることかできる。意思を通わせることもできる。
特にこのギア・キュア。
彼らは命を司る。お母様の聖女としての力は主にこのこの権能によるものだった。
公園に着くと案の定そこには何匹かの猫がいた。
あたしがここにきた目的は彼女達に会うためだ。
この春に生まれた子猫を何匹も連れ歩くお母さん猫。
真っ黒のこのこは子猫の時からよく見かける子であたしにも懐いてくれてた。
今は六匹の子のお母さん。ハチワレの子、キジトラの子、サバとらの子、三毛の子、ふわふわな毛並みの子、背中になんだか文字みたいな模様のある子。
真っ黒なお母さんからよくもこれだけいろんな柄の子猫が生まれるものだとほんと感心しつつじゃれあう子猫を眺めてた。
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