第4話 マナとマギア。
教室に入るともうあらかたみな席についていた。お嬢様方も無駄話などせず静かに腰掛けている。
まあね? 流石に学校は勉強をしにくるところだし騒いだりするような年齢でもなくなったしね?
これでも、低学年の最初のうちは結構騒いだりする子供も多かったけどこう年齢も上がった高学年にでもなれば皆大人の自覚が出てくるのか学業をちゃんと優先できるようになっているっぽい。
そもそもお金持ちの貴族の子弟は学問を学ぶだけであればいくらでも家庭教師がつけられるしこんな学園に通わなくともとも思うんだけど、なんにせよ子供には社会性? っていうのを学ばさせないといけないって大人の人は考えているらしく、皆一律就学期はこうした学園学校に通うのが常識だ。
それに、もう一つ。
魔法の問題も、あるのよね。
人の心の奥にある魂。人が人である
幽体離脱、浮遊霊、地縛霊。そういうものだって人にはこの
生命とは肉体だけでは成立せず、この
そして。
そのレイスにはマナという物質が詰まっている。っていうかレイスはマナで出来た風船のようなものだ。
マナとはこの世界の根幹。宇宙っていう概念の外。世界を包む神の氣だ。
そして、人はレイスに開いた窓、ゲートからマナを放出し力に変えることで目に見えぬ触ることもできぬ
マナを変えた力、エネルギーのことを魔力。その魔力によって森羅万象に影響を及ぼす方法のことを
まあその媒介にギアって名前の天使もいるんだけど、その辺はまた今度ね。
そうした魔法を使える人間って、数は少ないけど存在していて。特に貴族の子弟にはそうした力が宿る者も多いせいか。
そんな魔法による事故を防ぐためにも必要なのがこの就学期における人格形成なのだという。
って、どういうこと? って、思うよね?
感情が強すぎると魔力が制御できなくなって、人はその身を滅ぼすことだってあるのだ。
それが、この世界の、お母様が救う前の世界に現れた魔王の正体。
あたしはそうお母様に聞いた。
だから、ね。
人は、特に魔力の才を持ちうる貴族は子供の頃からちゃんとした社会性を学び、心が感情に呑まれないようにしなければいけない。
たぶん深層心理で魔王のことを覚えている世代の大人はそんな風に考えているんじゃないかな? この辺はあたしの想像だけれどね。
☆☆☆
「はーい。今日からあなたたちの担任になりますマギルア・アジャンです。一年間、楽しく過ごしましょうね?」
銀色のショートカットに赤い縁のメガネをかけたそんな少女のような感じがする先生?
マギルアと名乗った女性が教壇に立ってそう挨拶した。
教室の中が少しざわつく。
身長もあたしとどっこい? 同級生の中でも背がひくい方なあたしと同じくらいだなんて、本当にこの人大丈夫だろうか?
あまりにも幼い容姿に皆そんな感情を持ったらしい。
「ふふ。じゃぁ新しいクラスになったことだし、みなさん自己紹介をしましょうね。じゃぁ窓際の席の人から順番に」
周りのざわめきもものともせずそう続けるマギルア先生。あたしは廊下側の端っこだから結構最後になりそうだ。
「ジルベール・ド・オルレアンだ。宜しく」
最初の男子がそう挨拶する。ざわっと一際大きな声が上がった。あたしもその名前を聞いて驚いて、思わずその男の子を凝視する。
っていうか、なんで? 低学年の時には居なかったじゃない。
なんで、この王国の王子様がここにいるわけ?
たぶん皆そんな感じにざわざわとしたまま、自己紹介が淡々と進んでいった。残りの生徒は流石に皆低学年の時に見かけた人ばかりだったのでそこまで驚きの声は上がったりしなかったし。
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