あのコを振り向かせたいんです!!

ゆずか

プロローグ ~気になるコがいるんです!!~

 学校なんて大嫌いだ。何が悲しくて毎日のように通わないといけないんだろう。そもそも、つまらない授業を受けるためだけに、通うというのが理解に苦しむ。勉強なんて今の時代オンラインでも充分受けられる。それにテストの点数が悪くても別に死んだりもしない。だから、学校なんて行くだけで無駄だと思っていた。当然授業もまともに受ける気がないから寝てばかり。じゃあ何しに学校に行っているかって?それは同じクラスに気になるコがいるからだ。

 気になる子の名前は木内茜きうちあかね、あだ名はキウイ。初対面のとき、緊張のあまりうっかりそう呼んでしまった。本人からも「キウイ」って呼んでいいよと言われているが恐れ多くて今も呼べない。彼女と出会ってから目が合うだけで、挨拶を交わすだけで、つまらない学校にも行きたくなる。それほど茜の存在が俺にとって大きい。ちなみに学級委員で責任感が人一倍強い。それに見た目もテーマパークのプリンセス並に見る者を魅了する美しさがある。そしてトレードマークが髪飾りの『赤いリボン』だ。髪型も毎回時間がかかるんじゃないか思うほど、オシャレに余念がない。

 彼女は誰に対しても気さくで面倒見が良く、壁もつくらない。だから、学年問わず大勢の人からモテている。彼女と言葉を交わせるだけで幸せだと感じる人も多い。実は俺もその中の1人だ。しかもラッキーなことに席が隣ときたもんだ。当初は緊張のあまり挨拶だけで精一杯だった。しかし時間が経つにつれ、ようやくまともに言葉のキャッチボールができるようにまで成長できた。それに授業中寝ていたら毎回起こしてくれる。最近は呆れているらしく起こしてくれなくなった。 

 ここだけの話、彼女のことを好きなのは俺だけじゃない。学校中のみんなが狙っている。だから正直焦っていた。誰かにとられてしまうんじゃないかって。もしそうなったら、つまらない学校がもっとつまらなくなるのは目に見えている。その上、誰かとイチャイチャしているところなんか見たくもない。

 そしたら俺がやるべきことはただ1つだけ。


 それは……茜にお付き合いを申し込むこと!!


 なんて意気込むんだけど、自分の見た目のことをすっかり忘れていた。どう見てもプラスすっぽんマイナス。釣り合うわけがない。しかも風の噂で聞いたところ、なんと隣のクラスのイケメンも狙っているとのこと!既に戦う前から負けているではないか……。

 彼女にはライバルが多く、普通に告白するだけでは相手にされないし印象にも残らない気がする。じっと考えた結果、とある作戦を思いついた。早速明日から実行してみることにしよう。



続く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る