まりえプロジェクト

帆尊歩

第1話 阿部まりえ

女子高生の阿部まりえは風呂に入っている時、突然啓示を受けたかのように、一つアイデアが頭の上から 降って来た。


そしてそのアイデアがおそらく、画期的なものであることはなんとなくわかった。

それは世界を変えるに、値するアイデアであったのだ。

では何故それがわかったかといえば。阿部まりえは小さい時から、よく新聞を読んだ。

友だちに新聞の何がいいのだと言われた。

ニュースはネットで調べればことは済む。自分に関係のないニュースや、興味のないものを初めから排除できるから、効率がいいと言われる。しかしその自分にとって意味のない情報や興味のない事柄にこそ、知識を広げる伸び代になる。

小学校の時に宿題が出た、これは明日までと言うようなものではなく、一ヶ月二ヶ月の単位の宿題だった。基本はスクラップである、はじめに一つのテーマを決めて、その関連の記事を集め貼り付けて解説や私見を入れて、自分なりの新聞をつくるというものだった。

環境問題新聞

選挙制度新聞

地域興し新聞などである、これは途方も無い勉強になった。まず一つの事柄に興味を持ち意識的に、新聞を読む、そしてスクラップをし内容を考える。そして自分なりの意見を書き込んで行く。宿題以外にも阿部まりえは、自主的にこれをやりつづけった、これにより、高校生になった、まりえには世界情勢などについての知識が同年に比べて多くあった。そのまりえが、これはと思った内容である、でもまだ信用できない、単に自分勝手な考えで、全く話にならことなのかもしれない。そこでまりえは自らの考えを、snsに載せた。様々な反応はきたが、どれもおざなりのものだった。

まりえは、まあこんなものかと、さほど気にはしなかった。ただ一ヶ月ほどした頃、辰巳情報サービスの野神と名乗る人から返事があった。そこでまりえは褒めちぎられるのだった。

「よく勉強なっさっていますね。感服いたしました。私はシンクタンクの一研究員ですがあなたが高校生だときいて大変驚いています、まだまだあなたは伸びる。また新しいアイデアが浮かんだら、snsにもせる前にメールをください、きっとある程度的確なアドバイスができると思います」

このメールを受け取り、阿部まりえは嬉しい反面、ああこの程度かと思った、もう少し騒がれてもいのではとも思ったが、まあ世の中そう甘いものではない。そして阿部まりえは、そのことを忘れてしまった。


     

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