一章の終わり
双眼鏡を使わずとも、
八百長を疑いたくなるぐらいに二人は、上手いこと戦えている。俺の時と比べたら
まあ、よくよく考えたら当然か。
前世で観たゲーム実況動画だと『赤き豹』との戦いは、二回に分けられていた。
一回戦目はイベント・バトルにも近く、
それで
しかし、今夜の
友人を半殺しどころか
『赤き豹』などと粋がったところで、ただの女子高生だ。不安定どころか、もうズタボロに違いない。
また
さらに弱点を
そう、二人がかりで――
なんと
つまり、制限されつつも二人分の異能力を、
そして
『絆の証』だの『人と人を結ぶ力』などと謳い文句まであって……ちと主人公だからって、盛り過ぎじゃなかろうか。
俺なんか、すっぴんの霊体が出るだけなのに! 公平な再分配を要求する!!
そして
「チャンスだ! いくぞ、
「
キメ顔で呼応しあってから
それでヨロヨロとなったところへ、止めとばかりに
……いいのか、それで? 一応、
「……ずっと私が……駆けっこで一番だったのに……――」
そう『赤き豹』は残夜の月へ、希うように手を伸ばしながら消えた。後に失神し臥さる
もしかしたら
ただ、そうだとしても俺には分からなかったし……その必要性も感じなかった。
「どこへ行くんです、
「決まってるだろ。帰るんだよ、我が家に。明日は――というか今朝は、俺が朝食当番だからな。もう帰らなきゃ間に合わねぇ」
「ちょ、朝食!? こ、これだけのことがあって……朝食の心配ですか!?」
「
送ってやるから、早く支度しろ。自分用のヘルメットは持ってきてるな? あと身元が割れるようなものは残していくなよ?」
『教会』に『桜先輩』、『異能の覚醒条件』、『ハーレーの女』、『外国の介入』、『魔宮』……解決した以上の謎が増えて残った。
それでも一応は世界を救ったのだから、日常へと戻っても罰は当たらないだろう。その為に命を懸けたのだし。
「ほら、急げ! 炊飯器のタイマーを入れ忘れてんだ」
「す、炊飯器のスイッチ!? ちょっと緩すぎませんか、いきなり!」
そのツッコミへは
……多少は緩くても、いいだろうよ。すぐに次が始まるんだから。
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