逃亡
「……いまさらだけどキミは何者?
『魔宮』? 人の名前? それとも秘密結社の類だったり?
「通りすがりの雑魚モブ野郎ってことで……見逃しちゃくれませんか?」
「なんにせよキミは『狂化』してないみたいだし、
……安心して? これでもボクは回復魔術が使えるから」
そう言い放つや桜先輩は、『聖剣』を構え直した。……漏れ出でる殺気を隠そうともしやしない。
どうやら煩わしい虫から、捕らえるべき鼠へ昇格してしまったようだ。
……後半ボスとの
とにかくアクセルを緩めて間合いを取り、空になった
トップ・スピードなら
ただ、それが分っているのか運転手は、
……接触して事故になろうと、それはそれで俺を止められる。覚悟の上といったところか。
口の中に広がる血の味が、しばらくはグレー・アクセルを発動不能と、しきりに促してくる。
……非常に拙い状況だ。
しかし、それでも桜先輩には、御退場を願わねばならなかった。
この時点で介入されたら、おそらくシナリオは破綻――つまりは
それを避ける為なら、この命を賭ける価値もあるか。
軽いフェイントで
剣の間合いとなる前に、
やはり片手撃ちでは、命中率も悪くなった。何発は明確に的を外してしまっている。
ただ、それでも桜先輩は、律義に全ての弾を『聖剣』の平で弾き落としていた。
……予想通りだ。
だが、そうは問屋が卸さんと――
車体を
……一応、想定はしていた。想定はしていたが、しかし、あんまりだろう!
『聖剣』を具現といったところで、おそらくは
となれば霊体以外を透過のモードがあっても、おかしくはない。ノノベリティでだって、一応は可能だし。
だが、任意に物質を透過させれて、おそらく生体や
結果としてガード不能ではなかろうか?
仮に
つまり、適当な武器や防具では防ぎきれない。道具の優劣で負けてしまう。
きっと
でも、どうやって倒すの? 僕の考えた最強のボスとか、萎えるだけだよ!?
目の前へと迫りくる死――『聖剣』を左に逆手持ちへ構えた
……火花が散った! さすが写し・長久!
そして『聖剣』と鍔迫り合ったまま、押し返すようにして
分業制の欠点が、やっと相手の足を引っ張ってくれた! 乗客に過ぎない桜先輩は、常に運転手を守らねばならない!
……これで今夜の残り半分も
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