プレイヤーには分からないこと
急いでカバンから変装用の仮面を引っ張り出す。
……いまから降りて行って間に合うか?
嗚呼、こんなことなら何か飛び道具も用意しとくんだった!
それにチュートリアル・バトルで死にそうとか、これハード・モードだったのかよ! 負けたら核なんだぞ!
などと『マク道』の二階でバタバタしてたら――
僅差なものの辛うじて
……ひと安心か?
今後の課題として『完全覚醒を促進』が残るけど、今日のところはノルマ達成といえる。
後始末の様子を確認したら、家へ帰ろう。何もしてないのに凄く疲れた。
よし、いいぞ。冷静さは残っているようだ。
自分の携帯から救急車なんか呼んだら、後々で面倒臭いことになる。善意の第三者を装って、公衆電話を使った方がいい。
案の定、
あの方向には駅がある。いまや珍しい公衆電話も、駅前なら見つかるだろう。
状況終了だ。
しかし、同じ判断をしたのか、物陰から姿を現す者がいた。
場違いなことに
でも――
どうしてラスボス先輩が!?
俺と同じ様に
また、この時点で
それにラスボス先輩は、俺や
もしかしてラスボス先輩という異名は、難攻不落という意味じゃなくて……文字通りにラスボス――最後に倒すべき敵だから!?
でも、なんでラスボスが仲間っぽくオープニング・ムービーに出てるの!?
どうみてもプレイアブル――どこかで仲間になるような感じだったよ!? 異能もオサレに披露してたし!
そして
「
明らかにラスボス先輩――新治桜先輩は敬われていた。それに聖女? どういう立場だ!?
「……酷く『狂化』してたんだ。もう自分の身を守ろうとすら考えられないぐらいに」
ほんの微かな逡巡の後、新治先輩は誤解を肯定した。……
「それより『人払いの聖域』は? まだ維持できるの?」
さらに度肝を抜くフレーズが飛び足してきた。
普通なら「中二病乙」と一笑に付す。
しかし、俺は『マク道』についてから、何回も「家に帰りたい」と考えた!
失敗したら地元が核で焼き払われ、自分だけでなく家族の命すら危険に曝される重要ミッション中なのに!?
そして店内を軽く振り返れば、俺以外は誰もいないという異常事態に気付かさせられる。
駅に近い『マク道』で客がいない? どころか『マク道』があるような駅前の商店街で、人通りが全く?
何もかもがあり得ない! 普通じゃなかった! むしろ『人払いの聖域』とやらがなければ説明つかない!
ゲームであれば御都合と……いや、奇妙とすら思わなかっただろう。
しかし、ここは紛れもなく現実だ。
そして不思議なことが起きているのなら、そこには理由が存在しなければならない。
自分の見積もりの甘さを噛みしめながら、狂った男を新治先輩達が――謎の集団が回収する様子を眺める。
……車を使われては、尾行もできない。何か足を用意しておくべきだった。
いや、必要と思われる何もかもをか?
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