第45話『アルカンインスタ大作戦 4』

 明結が胸の奥から少しづつ吐き出した思いを、ひとりひとりがその手で受け取った。


洸夏こうか「すごい!明結ちゃんすごい!」


あい「うん……!」


明結あゆ「えっ、いや……」


天音あまね「ありがとう、たくさん伝えてくれて。」


奏那そな咲希さきちゃんも理解?」


咲希「うん……明結はすごいよ……」


瑚橙こと「ねぇ、それってもしかして、インスタに限ったことじゃない?」


明結「あっ、うん、そうだと思う。レッスンのときも。」


奏那「たしかにどう見られるか考えてたかも私。だからつまんなかったんだ」


明結「私のここを見てほしいってアピールするのがアイドルだと思うんだ、私。」


咲希「ほんっとにその通りだと思う。」


洸夏「うん……視界が開けた感じする、今……」


天音「これまで明結ちゃんが一番素敵に見えてた理由も分かったね!」


瑚橙「たしかに。明結ちゃんの何かが良いなぁって思ってた、ずっと。動きとか真似してるのに、同じにならなかった。そういうことだったんだ。」


奏那「明結ちゃん、これからも教えてね、明結ちゃんの思ってること。」


明結「……」


明結はうつむいた。


咲希「明結……?」


明結「ウザく、ないの……?」


洸夏「え?」


明結「……私なんかが偉そうに、こんなこと言って……明日から、仲間外れにしたりしない……?」


咲希「するわけないじゃん!?」


奏那「仲間なんだから、お互いの意見をぶつけ合って当たり前じゃん。それは違うわ、と思ったら喧嘩すればいいし。私はそう思うけど。」


洸夏「私もそう思う。」


明結「……仲間、なの……?私、みんなと、仲間……?」


咲希「えっ、ち、ちょっと、泣かないでよ!」


天音がカバンからティッシュを出して、明結に渡す。


明結「……ほんとに、ほんと……?明日からも、いつもみたいに、してくれるの……?」


洸夏「どうしたのさ……?」


奏那「今の明結ちゃんは、私たちからどう見られるか気にしてる。違うんでしょ?明結ちゃんがどんなでも、私たちの仲間だよ。犯罪でも犯さない限りは、味方。だってひとり欠けたら、綺麗な虹にならないでしょ?」


瑚橙「紫が無いとえない。」


明結「……っ」


咲希「何かあったの?意見言ったら、ひとりぼっちにされた経験でも。」


明結「……うっ、うん、ある」


結成から1年半。いつも微笑をたたえ、みんなを見守る聖母、明結が見せた、素顔。


明結「……中学1年生の時、クラスで学級委員長を務めてた。一番最初の係決めでは、誰が誰が学級委員に向いてるか分からなかったから、成績が上位だった私と、もう1人、男子が委員になった。」

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