第41話『もういいかい 終』

 レッスン前、スタジオにて。


凛果りんか「ねぇ、3人は気づいてる?私たち、ようやく『アイドル』のために生きていく道に入ったんだよ。私たちがもし抜けたくなっても、多分抜けられないよ。」


桃莉とうり「……?凛果ちゃん、アイドルのために生きていくの、嫌なの?」


凛果「違うよ。すごく嬉しいよ。大好きだよ。だから……嫌いになるのが怖い。『好き』のままで、いられるかな。」


千翼ちひろ「そんなの、今はまだ分からないよ!でも、凛果ちゃんはアイドルのことが大好き!アイドルを愛してる!だから、きっと……大丈夫。私たちは、凛果ちゃんも愛してる。」


凛果「……千翼ちゃん。」


奈々なな「私は、すごくワクワクしてるよ。正直、スタートは同じだったはずのCandy RainキャンディーレインHONEY*SCENTハニーセントより、遅れを取ってた自覚があったよ。でも負けたくないから、悔しかったから、チャンスを掴めたJoyfulenceジョイフルエンスのこと、誇りに思ってる。」


桃莉「私はみんなみたいに頭良くないし、これからのこととか想像できないけど、昨日みたいな気持ちをこれから何度も何度も味わえるんだと思うと、今から幸せ。それに、まだJoyfulenceって誰?って人もたくさんいるじゃん。その人たちにも、知ってほしい。好きか嫌いかになってほしいな。」


凛果「……うん、そうだね。ごめん、ネガティブなこと言って。」


千翼「ううん。凛果ちゃんはいつもアイドルやJoyfulenceのことを一生懸命考えてくれるから、だからこそ不安になったんだと思うよ。」


凛果「うん……そうかも。アイドルが大好きだから。」


奈々「うん……!私も、ボナプラのイベントのおかげで、アイドルのこともっともっと好きになった!」


桃莉「早く仕事したいね。Joyfulenceのこと、たくさんの人に見てもらいたい。」


「はい。早速ですが、来週末には『SNACK MUSICスナックミュージック』の収録があります。」


凛果「SNACK MUSICって、あのCandy Rainも出た……?」


「はい。」


Candy RainがCandy Rainであると決めた、あの深夜の音楽番組。


「しかも、VTR出演ではなく、スタジオ出演です。」


千翼「……!」


奈々「すごい……!」


桃莉「1回の仕事で、こんなことになるの?」


「本当ですよね。私も……驚いています。」


夢を見せてくれてありがとう。私が見たかった景色、あなたたちならきっと見ることが出来る。


凛果「じゃあ、トークとかも練習しとかなきゃ!ね……?」


奈々「う……」


桃莉「視線が痛い……」


千翼「あはは!いつも通りの2人で大丈夫だよ!」


凛果「そうそう。よし、よし!ワクワクしてきた!ステージに駆け上がれ、Joyfulence!」


千翼・奈々・桃莉「「おー!」」


これまで、かくれんぼのようにその力を秘めていたJoyfulence。これからは、思う存分発揮してくれることだろう。もういいよ。

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